2009 Fiscal Year Annual Research Report
免疫操作による老人性難聴の予防-分子生物学的機序の解析
Project/Area Number |
21592170
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岩井 大 Kansai Medical University, 医学部, 准教授 (10232638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70115947)
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Keywords | 老人性難聴 / ヘルパーT細胞 / 免疫老化 / 胸腺 / 遺伝子 / mRNA |
Research Abstract |
老人性難聴モデルマウス(SAMP1)を用いて、当初の実験計画をほぼ踏襲できた。すなわち、若年マウス(2週齢、A群)に比し老年マウス(8週齢、B群)で老人性難聴が進むことや、同じ老年マウスでも、胎児胸腺を移植された群(C群)では難聴進行が軽度となることを、聴性脳幹反応(ABR : auditory stem response)を用いて観察した。また、若年AKRマウス(SAMP1のワイルドタイプ)のD群(コントロール)も作製した。各群の脾リンパ球から、標識抗体とフローサイトメトリーを用いてヘルパーTリンパ球(Th、CD3・CD4陽性)を取り出した。さらにこれからISOGENを用いてmRNAを抽出した。mRNAサンプルの濃度をND-100 spectrophotometerにて測定し、サンプルの品質をAgilent 2100 bio-analyzerで評価し、純度が十分高いことを確認した。現在これらのサンプルについて、計画を前倒しにしてAgilent Whole Mouse genomeを用いた一色法によるDNA Microarrayに取り掛かっているところである。 こうした内容は平成21年の日本耳科学会およびInner Ear Biology Workshop(オランダ)において発表した。 免疫老化(Th機能老化)が蝸牛機能老化(老人性難聴)と関係していることを、これまで骨髄移植、Th接種などの方法で示してきたが、今回の実験結果は、胸腺移植によるTh機能老化防止が老人性難聴進行遅延に結びつくことを示唆する。さらにこの機序をThの遺伝子発現を介して検討し、Thと蝸牛間での免疫神経相互機能を、分子生物学的レベルで検討できるものと考える。
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