2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592176
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西崎 和則 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90180603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野田 友男 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (20420482)
吉延 潤子 岡山大学, 医学部, 技術職員 (80448224)
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Keywords | 嗅細胞 / 再生 / 骨髄移植 / G-CSF / メチマゾール / 嗅球 / シナプス形成 / 嗅組織幹細胞 |
Research Abstract |
我々はすでに骨髄細胞が嗅細胞に分化することを移植実験から確認しているが、この研究の目的は、骨髄細胞からの嗅細胞再生への効率化を図るため、心筋傷害に対する有効性が確認されつつある顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor ; G-CSF)を投与して骨髄細胞の末梢組織(嗅組織)への動員を増加させて移植の効率を高め、また再生嗅細胞の軸索およびシナプス形成の機序を解明して、G-CSFによる嗅覚再生医療への糸口をつけることである。 今年度、再生嗅細胞において軸索伸長やシナプス形成が起こるか解明。平成22年度までの研究でG-CSF投与群によって骨髄細胞移植による嗅細胞の再生が亢進することを確認した。さらに、嗅球においても神経細胞が再生するのを確認している。 嗅細胞は軸索を嗅球に投射させて嗅球の糸球体で僧帽細胞とシナプス形成を行う。嗅球におけるGFP陽性の神経線維が嗅細胞の軸索によるものか神経細胞の樹状突起によるものかの鑑別が必要になる。このため連続切片を作製して、GFp陽性神経線維が軸索か樹状突起によるものかを判定した。 本実験にてG-CSFが骨髄細胞の嗅上皮への取り込みを促進させることが示され、G-CSF投与が嗅覚障害の治療の一つとなる可能性を有し、骨髄細胞を介した再生医療により嗅覚障害の臨床応用への道筋を開くものと期待される。また、G-CSFはすでに承認された薬剤であることから嗅覚障害に対するG-CSFの臨床治験は倫理的な制約が少ないと考えられる。 よって、本研究において、G-CSFの直接作用もしくは骨髄細胞を介した再生医療により嗅覚障害が回復する可能性が明らかにされれば、G-CSFはすでに承認された薬剤であることから、嗅覚障害に対するG-CSFの臨床応用への道筋が開くことが期待される。
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