2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592244
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村戸 ドール 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (60385284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 明弘 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (20383755)
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Keywords | 喫煙 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
眼球表面は外界に接しているため、紫外線、気流、酸素、そして多種の化学物質など、様々な影響を受けている。喫煙行為は日常的に行われているため、喫煙による主流煙や副流煙は眼球表面に影響を与える環境因子として大きなものの一つと考えられる。喫煙は多くの疾患の原因や増悪因子として考えられており、特に肺における喫煙の影響に関する研究は広く行われているが、眼球表面は肺と同じく外界からの影響を受けているにもかかわらず、研究は進展していない。そこでラットを用いて喫煙の眼球表面への影響を検討することにした。 6週齢雄SDラットをチャンバー内に入れ、シリンジを用いてチャンバー内に主流煙を添加することにより曝露した。5日間曝露後、蛍光染色法により角膜障害を、綿糸法により涙液量を測定したところ、角膜障害が生じ、涙液量の低下も認められた。このことは喫煙が角膜だけでなく涙腺にも影響したことを示唆する。次に角膜および涙腺を摘出し、mRNA発現変動をリアルタイムPCR法により測定した。角膜において角膜障害を示すマトリックスメタロプロテアーゼ-9および酸化ストレスにより発現が上昇するヘムオキシゲナーゼ-1の上昇が認められた。喫煙者肺で強い発現上昇が認められるシトクロムP450(P450)1A1の発現が強く増大しており、P4501B1および2B2の発現も数倍増大していた。涙腺においてはリゾチーム発現が低下しており、涙腺に障害が起こっていることが示唆され、P4501A1の発現も4倍程度の上昇が認められた。これらの結果は免疫組織染色によっても確認された。涙液量の低下および涙腺におけるP4501A1発現の増大が認められたことより、喫煙処理が角膜だけでなく涙腺にも影響を与えることが示された。P4501A1の発現量増大は角膜および涙腺の障害に関与し、これには酸化ストレスの上昇が関係していると考えられた。
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Research Products
(1 results)