2011 Fiscal Year Annual Research Report
組織工学を活用した神経堤幹細胞によるヒルシュスプルング病に対する新たな治療戦略
Project/Area Number |
21592280
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
金廣 裕道 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30204580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 剛 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 医員 (40526810)
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Keywords | 多能性幹細胞 / ES細胞 / iPS細胞 / 腸管分化誘導 / 神経堤幹細胞 / 細胞シート / ヒルシュスプルング病 |
Research Abstract |
今年度、われわれは神経堤幹細胞を細胞走化性測定装置を用いて、遊走能を有する細胞をヒルシュスプルング病のモデルマウスの移植するための準備実験として、以前から行なっているhanging drop culture(懸垂)培養系でのembryoid body(EB)を用いた、ES細胞から肝細胞および腸管神経系・神経堤幹細胞への分化誘導に関する研究をもとにiPS細胞を用いて研究を行った。iPS細胞は重力の影響を受けて、滴状培養液の先端に凝集し、胚様体を形成する。懸垂培養にて6日間培養して胚葉体を作製した後、付着培養を行い、21日目にiPS細胞から蠕動運動能を有する腸管(iGut)の分化誘導を確認した。iGutは粘膜細胞、平滑筋細胞、ICC、神経細胞などの腸管特異的な三胚葉系細胞で構成されていた。iPS細胞を用いることよって、疾患由来という特性を生かし、難治性腸疾患での病態解明や臨床応用へ近づくものと考え、この成果を論文や学会で報告してきた。また、iPS細胞からも腸管神経系・神経堤幹細胞への分化誘導を行うべく、ES細胞の際と同様に、神経栄養因子であるGDNFやBDNFを添加することにより、腸管神経系の起源である神経堤幹細胞を誘導腸管壁内に分化誘導を行っており、その結果に関しては現在解析中である。 また、ES細胞では、研究計画に掲げた様に、細胞走化性測定装置を用いて、遊走能を有する神経堤幹細胞を回収し、神経堤幹細胞シートを作製し、ヒルシュスプルング病モデルマウスに移植することによる腸管運動能の改善効果に関しても検討中である。
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