2010 Fiscal Year Annual Research Report
急性肝不全に対する新しい治療ターゲット:Bach1
Project/Area Number |
21592307
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 裕子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (80423284)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40108171)
|
Keywords | 集中治療学 / 急性肝不全 / 酸化ストレス / ヘム / Bach1 / ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1) / チトクロームp450 / 四塩化炭素 |
Research Abstract |
急性肝不全は未だ致命的な疾患の一つであるが、肝不全の重症度をより詳細に発症後早期に判断することで、より適正な治療法の選択が可能となり、さらに救命率の上昇が期待できる。一般に急性臓器不全の細胞障害には酸化ストレスが重要な役割を果たしており、このとき誘導されるheme oxygenase-1(HO-1)は細胞保護的に働いていることをこれまで申請者らは報告してきた。近年、Bach1は過剰なヘムを感知しHO-1の発現を制御する転写調節因子であることが報告された。本研究ではBach1が急性肝不全のより鋭敏で早期に感知できる酸化ストレスマーカーであることをin vivo、in vitro、さらにはヒト急性肝不全症例において明らかにする H.22年度は、ラット四塩化炭素CCl_4モデルおける肝でのBach1の動態とその意義を、cis-Stilbene oxide (CSO)投与モデル(ヘムは関与しないが酸化ストレスは関与するHO-1誘導モデル)、heme arginate(HA)投与モデル(ヘムは関与するが酸化ストレスのないHO-1誘導モデル)の肝での核タンパクにおけるBach1タンパクの発現をWestern blot法にて検討した。また、遊離ヘムを従来の測定法であるmicrosomal heme contentと、遊離ヘムの源の一つであると考えられてるチトクロームp450 contentのレベルも各モデルにおいて検討した。 [方法]雄性SDラットにCCl_4またはCSOを腹腔内投与、またはHA静注し、経時的に肝臓をサンプリングし、Western blot法により核タンパク中のBach1タンパクの発現を検討。また、各モデルの肝ミクロソームのheme contentとp450 contentを検討した。 [結果]Western blot法による肝のBach1タンパクレベルは検出が安定せず、現在方法を再検討し実験継続中である。以前の研究からheme contentはコントロール群と比較してCCl_4モデルで上昇することが報告されているが、今回はさらにHAモデルで上昇し、CSOモデルではコントロール群と同レベルであることを確認した。肝P450レベルはCCl_4モデルで低下し、HA、CSOモデルでは上昇することを確認した。以上の結果より、酸化ストレスが加わりp450が崩壊するような状況では遊離ヘムが上昇しBach1が誘導されることが推測された。
|