2011 Fiscal Year Annual Research Report
急性肝不全に対する新しい治療ターゲット:Bach1
Project/Area Number |
21592307
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 裕子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (80423284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40108171)
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Keywords | 集中治療学 / 急性肝不全 / 酸化ストレス / ヘム / Bach1 / ヘムオキシゲナーゼ / チトクロームp450 / 四塩化炭素 |
Research Abstract |
急性肝不全は未だ致命的な疾患の一つであるが、肝不全の重症度をより詳細に発症後早期に判断することで、より適正な治療法の選択が可能となり、さらに救命率の上昇が期待できる。一般に急性臓器不全の細胞障害には酸化ストレスが重要な役割を果たしており、このとき誘導されるheme oxygenase-1(HO-1)は細胞保護的に働いていることをこれまで申請者らは報告してきた。近年、Bach1は過剰なヘムを感知しHO-1の発現を制御する転写調節因子であることが報告された。本研究ではBach1が急性肝不全のより鋭敏で早期に感知できる酸化ストレスマーカーであることをin vivo、in vitro、さらにはヒト急性肝不全症例において明らかにする. H.23年度は、ヒト急性肝不全症例における肝でのBach1の発現を検討した。 [方法]岡山大学病院におけるヒト急性肝不全症例の肝臓のバイオプシーサンプルよりtotal RNAを抽出しNorthern Blot法にてBach1遺伝子発現を検討する。コントロール群は大腸がんまたは直腸がんの転移性肝ガン症例からの肝臓のバイオプシーサンプルの正常部位とした。 [結果]Northern blot法によりヒト急性肝不全症例における肝のHO-1 mRNAの誘導、ヘム合成系酵素の一つdelta-aminolevuinate synthase (ALAS1) mRNAの抑制されることは既に報告している(Fujii H,2004)。今回、Bach1 mRNAレベルはコントロール群と比較して急性肝不全症例肝で有意に上昇することを確認した。急性肝不全ラットモデルの結果と同様、ヒト肝不全症例においても酸化ストレスにより遊離ヘムが上昇しBach1が誘導されるたと推測される。以上の結果より、Bach1は急性肝不全のより鋭敏で早期に感知できる酸化ストレスマーカーとなる可能性が示唆された。
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