歯牙発生時の硬組織形成細胞の分化・機能調節、基質石灰化における基質蛋白の機能解析

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21592329
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 内田 隆 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50150305)
• Keywords: エナメルタンパク / アメロブラスチン / セメント質 / 象牙質 / 歯胚 / 歯根形成

Research Abstract

1. 歯芽硬組織形成細胞の分化・機能調節におけるエナメル蛋白の役割の解析
まず、実験系の確立のため、マウスの歯根形成期の初期歯胚を器官培養し、歯根形成過程を形態学的に解析した。その結果、培養条件を様々に変えても、セメント質形成だけでなく、歯根形成そのものに一定の結果が得られず、この実験系では研究目的の遂行は困難なことが判明した。そこで、in vivoでマウス下顎骨の歯根形成初期第1臼歯歯胚の歯根相当部に、アメロブラスチンに特異的なsiRNAを直接注入した。その結果、対照群に比べ、歯根の形成そのものが影響を受け、形態計測の結果、歯根長が有意に短くなることを見いだした。さらに、歯根形成の阻害程度が、注入したsiRNAの量に依存していることが明らかとなった。また、セメント質の形成も低下していることが明らかになった。この結果から、アメロブラスチンはセメント芽細胞のみならず、歯根象牙質を形成する象牙芽細胞の増殖・分化・機能発現に重要な因子である可能性が示唆された。
2. 低分子型アメロブラスチンのクローニングと特異抗体の作成
ラット切歯分化期エナメル芽細胞を集め、cDNAライブラリーを作成し、分化期エナメル芽細胞で発現していることが分かっている低分子型のアメロブラスチンをクローニング・シークエンシングすることを試みた。しかし、目的とする低分子型アメロブラスチンのクローニングには、未だ成功していない。