2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯牙発生時の硬組織形成細胞の分化・機能調節、基質石灰化における基質蛋白の機能解析
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21592329
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
内田 隆 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50150305)
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Keywords | エナメルタンパク / アメロブラスチン / アメロゲニン / エナメリン / エナメル器 / 細胞分化 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
歯の発生過程におけるアメロブラスチンの機能を明らかにするため、in vitroでエナメル器由来の細胞のアメロブラスチンを強制発現あるいは発現抑制させ、他のエナメル蛋白の発現および細胞増殖について検索し、以下の結果を得た。 1.エナメル蛋白のうち、アメロゲニン、エナメリンおよびタフテリンを発現しているがアメロブラスチンを発現しないameloblast lineage cell lineに、アメロブラスチンを強制発現させた。この結果、アメロゲニン、エナメリンの遺伝子発現が亢進した。しかしタフテリンの発現は変化しなかった。また、ameloblast lineage cell lineの細胞増殖は抑制された。さらに、アメロブラスチン過剰発現は細胞周期関連因子p21Cip1、p27Kip1の発現を亢進した。 2.マウス切歯のcervical loopより、アメロゲニン、エナメリン、アメロブラスチンを恒常的に発現しているエナメル芽細胞様細胞を分離・培養した。この細胞のアメロブラスチン発現を抑制すると、アメロゲニン、エナメリンの遺伝子発現は低下した。一方、細胞増殖の指標となるBrdUの取り込み量は増加した。 以上の結果から、アメロブラスチンは歯の発生において、基質蛋白としての機能を果たすだけでなく、CDK活性を介してエナメル器に由来する細胞の増殖を抑制するとともに、他のエナメル蛋白の発現を調節する機能を果たしていると考えられた。
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