2010 Fiscal Year Annual Research Report
PKR,オステリックス,カルシニューリンの相互作用による骨形成機構の解明
Project/Area Number |
21592330
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
羽地 達次 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50156379)
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Keywords | タンパク質脱リン酸化 / タンパク質リン酸化 / 破骨細胞 / 骨吸収 / 軟骨細胞 / PKR / RANKL / RAW264.7細胞 |
Research Abstract |
PKRは細菌感染,インターフェロン,LPSなどに応答し,細胞の防御機構やアポトーシスに関与する蛋白質リン酸化酵素である。我々は骨芽細胞の分化と石灰化におけるPKRの機能について報告した。ところが,破骨細胞におけるPKRの役割についての報告はなく,その機構については全く不明である。今回,我々は破骨細胞形成におけるPKRの影響を調べた。PKR変異型遺伝子(K296S)をマウスマクロファージ細胞株RAW264.7に導入し,定常に発現する細胞をクローニングした。PKR変異型細胞をRANKLで刺激すると単核のTRAP陽性細胞は認められたが,TRAP陽性の大型の多核細胞はほとんど認められなかった。一方RANKLは野生型細胞とpc導入細胞においてTRAP陽性多核細胞の形成を促進した。前破骨細胞融合関連分子(MFR,DC-STAMP)の遺伝子発現はPKR変異型細胞で抑制されていた。NF-κBの発現はPKR変異型細胞では抑制されており,STAT1の発現は上昇していた。以上の結果からPKRは破骨細胞の形成に関与し,NF-κBやSTAT1の発現を介してその形成を調節していると考えられる(Teramachi et al, 2010)。我々はPKRが転写因子STAT1の蛋白発現やリン酸化に関与し軟骨幹細胞の性質を変化させる事を明らかとしてきた。しかし,STAT1以外の分子との関連や,in vivo発生過程において,PKRが軟骨分化に果たす役割については,未だ不明である。我々はさらにin vitro軟骨分化とマウス胎児の発生過程におけるPKRの発現について検討した。軟骨幹細胞ATDC5は培養7日目から軟骨基質を産生し,軟骨細胞へと分化した。しかし,PKR阻害群では軟骨基質形成が抑制されていた。さらにPKR阻害群ではSTAT1の発現様式が異なっており,OsterixやCollagenαII型の発現様式にも違いが生じていた。胎生マウスにおいては下顎頭予定領域の軟骨周辺にPKRが発現していた。以上の結果は,軟骨幹細胞から軟骨細胞への分化がPKRの活性により調節される可能性を示唆する(森本等,2010)。
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Research Products
(13 results)