2011 Fiscal Year Annual Research Report
Ca2+透過性イオンチャネル(TRP)による破骨細胞のアポトーシス誘導機序の解明
Project/Area Number |
21592380
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡本 富士雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60153938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍜治屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (80177378)
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
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Keywords | 破骨細胞 / イオンチャネル / TRPM7 / 陽イオン輸送 / アポトーシス |
Research Abstract |
初年度から昨年度において、前駆破骨細胞を破骨細胞へ分化誘導すると、陽イオン透過性チャネルであるTRPM7の発現が高まること。また、破骨細胞よりTRPM7を介すると考えられる陽イオン輸送(TRPM7様電流)を捉えることに成功し、その輸送が低Mg^<2+>環境下および酸性環境下で活性化されることを明らかにした。本年度は、破骨細胞に発現するTRPM7の機能的役割を明確にする目的で、(1)TRPM7の発現抑制がTRPM7様電流に及ぼす影響および(2)破骨細胞の細胞死(アポトーシス)と骨吸収活性に及ぼす影響を検討した。 (1)破骨細胞におけるTRPM7の発現を抑制するために、Cre-LoxPシステムを用いて破骨細胞特異的TRPM7KOマウスを作出した。TRPM7を発現した破骨細胞では、低Mg^<2+>環境下において、細胞膜の過分極によって細胞内への陽イオン輸送が、脱分極によって細胞外への陽イオン輸送が活性化された(外向き整流性陽イオン電流という)。また、この外向き整流性陽イオン電流は、細胞外液または細胞内液へのMg^<2+>添加により抑制され、細胞内へのcAMP投与および細胞外液からの2価イオン除去によって活性化された。これらの性質は、報告されているTRPM7電流の特徴と一致した。一方、TRPM7KO破骨細胞では、このような外向き整流性陽イオン電流は全く認められなかった。この結果より、低Mg^<2+>環境下において活性化される外向き整流性陽イオン電流は、TRPM7のイオン輸送活性を反映することが明確になった。 (2)TRPM7を発現した破骨細胞とTRPM7KO破骨細胞を用いて、破骨細胞分化・骨吸収活性・細胞死に対するTRPM7の関与を検討した。その結果、破骨細胞形成に有意な差はなく、形成された破骨細胞の骨吸収活性にも有意な差はなかった。また、長期培養および酸化ストレスによる細胞死の誘導においても有意差は認められなかった。 これらの結果より、破骨細胞に発現するTRPM7は陽イオン輸送体として機能することが明確になった。しかし、破骨細胞形成、骨吸収活性および細胞死とTRPM7との関連を裏付ける結果は得られなかった。
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