2009 Fiscal Year Annual Research Report
食品レオロジー特性の嚥下動態への影響に基づいたトロミ食品の開発
Project/Area Number |
21592447
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
舘村 卓 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 准教授 (60188266)
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Keywords | 筋電図 / 口蓋舌筋 / 口蓋帆挙筋 / 至適嚥下量 / 口腔相 / 咽頭相 / 粘性 |
Research Abstract |
安定した増粘剤の開発を目的として,今年度は低粘性の液体食品用いて物性と口蓋帆咽頭閉鎖機能との関連を調べた.すなわち,誤嚥発症の起点である口腔期と咽頭期の移行段階の調節を担う口蓋帆咽頭閉鎖機能が低粘性の液体食品の粘性の変化によって影響されるかを口蓋帆挙筋活動を指標にして検討した.低粘性の液体食品としてニュートン性を有する水と市販ミルクを用い実験した. 結果:被験者10人を対象に各々の試験食ごとの個人至適嚥下量に基づいて試験食を5回嚥下させた.筋電図採取法は,既に舘村らがspeechならびに嚥下機能に関して確立しているhooked wire electrode法を用いた双極誘導による採取法に準じた.全員において同量を嚥下しているにもかかわらず,ミルク嚥下時の口蓋帆挙筋活動量は水での活動量よりも有意に小さかった. 意義:嚥下時の口蓋帆咽頭閉鎖機能は,口腔に保持した食物物性を検出して調節していることが明らかになった.すなわち,嚥下時の口蓋帆挙筋活動は,これまでの教科書や成書にあるようなon-offのbinary運動ではないことを示し,さらに既に学習した食物物性に照らし合わせて調節されていることを示している. 重要性:本結果は,現在のX線ビデオや内視鏡検査における軟口蓋運動の評価基準に新たな見解を投じており,また嚥下リハビリテーションや増粘剤の開発に軟口蓋運動と食物物性の関連性を考慮する必要性があること,さらに増粘剤の無定見な使用では誤嚥症状は改善できないことを示している.
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