2010 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼の回復による認知症の発症予防-海馬の記憶関連遺伝子に関する分子生物学的解析-
Project/Area Number |
21592448
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原 哲也 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60238160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 徹 就実大学, 薬学部, 教授 (30243463)
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Keywords | マイクロアレイ / 海馬 / 記憶 / 咀嚼 / 歯 / 認知症 |
Research Abstract |
本研究では記憶学習に関する行動科学的試験を行い,海馬に発現する記憶に関連する遺伝子をDNA microarray法を用いて解析する。さらに,歯牙欠損状態ならびに抜歯後義歯によって咀嚼を回復させた状態で学習を行わせて,これらの記憶関連遺伝子の発現量を分子生物学的に観察することを目的とした。 平成22年度は海馬において学習時に発現の変化する記憶関連遺伝子をDNA microarray法によって解析した。6週齢のWistar系雄性ラットを用いて,学習群には8方向放射状迷路課題を1日1回7日間連続で行わせた。対照群は学習を行わせなかった。学習終了時に両群の動物を屠殺して海馬を摘出してmRNAを抽出した。再現性を得るために各群をさらに2つに分けて(学習群1, 2,対照群1, 2)DNA microarray用のサンプルとし,dye swap法で遺伝子発現量を計測した。学習群1と対照群1を比較すると,学習によって39遺伝子の発現が2倍以上に増加し,86遺伝子の発現が1/2以下に減少した。学習群2と対照群2の比較では学習による発現増加が75遺伝子,発現減少が151遺伝子であった。これらの結果を比較して,学習によって増加した6遺伝子,減少した9遺伝子を記憶関連遺伝子として限定した。今後はこれらの遺伝子の発現量を各個体間でreal-time PCR法を用いて比較し,さらに記憶関連の遺伝子を限定する予定である。 一方,抜歯後に咬合支持を回復させた動物の飼育を行っている。6週齢のWistar系雄性ラットの上顎臼歯を抜歯した抜歯群と,抜歯後に義歯床によって咬合支持を回復させた義歯装着群,対照群のラットを飼育し,50週齢時から八方向放射状迷路課題を行わせて海馬からmRNAを抽出し,上記で限定した遺伝子発現をreal-time PCR法を用いて比較する予定である。
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