Research Abstract |
本研究は,咬頭干渉が与える影響について,運動生理学の観点から顎運動および咀嚼筋活動量の同時計測を行い,咬頭干渉が及ぼす影響についての関連性を明らかにする.咬合干渉を付与した実験では,咬合接触部位や接触順序の変化が考えられ,咬合接触検査装置により観察する必要がある.現在臨床に反映しつつある顎運動計測にこれらを加える事で,より詳細な報告が可能であると考えている.そこで,日常生活において強い影響を与えない咬合干渉を長期的に付与し,歯根膜感覚の変化を下顎運動,さらに咬合接触様相や咀嚼筋筋活動とともに観察することで,弱い慢性的な刺激による突発性咬合感覚異常の成因を明らかにする事とした.本研究において,咬合感覚の変化を見るには,末梢性の感覚の評価が必須である.そこで,21年度は,末梢性の感覚を定量的に評価する目的で,平常時の歯根膜触感覚閾値を計測した.被験者は,正常者10名,全て女性で平均26.3歳である.対象歯は,上顎左右側の第一小臼歯とした(対象歯が欠損している場合は,第二小臼歯を対象とした.).測定装置は,ナイロン製のvon Frey Hairチップを用いた電子痛覚測定装置とした.測定方法は,チップの先端を,対象歯の口蓋側咬頭内斜面に着けて,歯軸方向に力を加え,被験者が感じた時点で合図してもらった.その結果,正常者10名の触感覚閾値は,右側小臼歯部では,平均2.60g(SD 1.33g),左側小臼歯部では,2.84g(SD 1.25g),全体で2.72g(SD 1.30g)であった.
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