Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 洋二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20200214)
中田 憲 秋田大学, 医学部, 助教 (50400510)
杉山 俊博 秋田大学, 医学部, 教授 (00127242)
玉谷 哲也 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30274236)
内田 大亮 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335798)
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Research Abstract |
平成21年度は,間葉系幹細胞を用いた歯の再生医療を目指して,その細胞源となるヒト間葉系幹細胞(ヒト骨髄由来:hMSC,ヒト脂肪組織由来:hADSC)の特性と分化能について検討し,さらに,基底膜成分およびエナメル蛋白を用いて,ヒト間葉系幹細胞の歯原性細胞への分化誘導を行った. ヒト間葉系幹細胞の特性 hMSC, hADSCとも紡錘形で線維芽細胞様の形態をしていたが,その増殖能はhMSCの方が速く,倍加時間はhMSCが20時間,hADSCが35時間であった. ヒト間葉系幹細胞の多分化能の検証 骨分化誘導培地で培養すると,両細胞とも石灰化がみられ,骨分化マーカー(I型コラーゲン,アルカリフォスファターゼ,オステオカルシン)の発現が上昇した.軟骨分化誘導培地で培養すると,両細胞とも軟骨基質の産生がみられ,軟骨分化マーカー(II型コラーゲン,X型コラーゲン,アグリカン)の発現が上昇した.脂肪分化誘導培地で培養すると,両細胞とも脂肪滴が形成され,脂肪分化マーカー(C/EBPα, PPARγ, aP2など)の発現が上昇した.以上から,hMSCとhADSCの骨,軟骨,脂肪への多分化能が示された. ヒト間葉系幹細胞の歯原性細胞への分化 間葉系幹細胞を,基底膜成分の調整品であるマトリゲルあるいは基底膜成分のラミニン,IV型コラーゲンをコートした培養皿上で,エナメル蛋白の主成分であるアメロゲニンを培地に加えて培養し,間葉系幹細胞の象牙芽細胞への分化を検討した.幹細胞をマトリゲル上で培養するとカルシウムの沈着が観察され,さらに,アメロゲニンを加えて培養すると象牙芽細胞のマーカー遺伝子であるDSPP(象牙質シアロリンタンパク)とDMP-1(象牙質基質タンパク質)の発現が増強した.以上から,間葉系幹細胞の象牙芽細胞への分化が示された.
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