2011 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御因子CSDAのリンパ管新生阻害作用による口腔癌リンパ節転移抑制法の確立
Project/Area Number |
21592541
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
松本 剛一 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (60199867)
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Keywords | CSDA / VEGF-A / VEGF-C / HRE / SRE / AP-1 / MMP / リンパ節転移 |
Research Abstract |
目的:口腔癌の頸部リンパ節転移制御は重要な因子であることからリンパ節転移に対して抑制的に働く遺伝子を見出すことは治療に貢献するものと考えている。 方法:マウス扁平上皮癌NR-S1細胞株において高率にリンパ節転移するNR-S1M細胞株を樹立した。 これら細胞からRNAを抽出しマイクロアレイ解析を行い、NR-S1M細胞で発現低下している遺伝子群の中からCSDAをリンパ節転移抑制の候補遺伝子として、リンパ節転移に関わる解析を行った。 結果:CSDAはDNA結合タンパク質で、HIF-1と拮抗的にVEGF-Aのプロモーター領域のHREに結合 すること、またElk-1と拮抗的にc-fosプロモーター領域のSREに結合することで転写活性を抑制することが明らかとなった。in vivoにおいては、CSDA導入腫瘍はcontrol腫瘍に比べ、腫瘍増殖の抑制やリンパ節転移率の低下(13%vs100%)がみられた。また腫瘍局所の血管およびリンパ管数も、CSDA導入腫瘍において有意な減少がみられた。CSDA導入腫瘍局所のVEGF-AとVEGF-Cの発現低下がタンパクレベルで確認できた。発現低下のメカニズムは、CSDAがHIFあるいはElk-1と競合的に働き、HREあるいはSREへの結合を阻害するものと考えられた。またCSDAは転写因子AP-1とも結合能を有することが明らかとなった。AP-1はVEGF-A,DあるいはMMPsの転写を制御していることから、CSDAはAP-1が関与する腫瘍の進展を阻害する作用を有している可能性が示唆された。 結論:CSDAは扁平上皮癌のリンパ節転移抑制因子として機能する可能性が強く示唆された。
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Research Products
(2 results)