2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄・歯根膜細胞を用いた顎骨再生医療を目指した基礎研究
Project/Area Number |
21592615
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
中村 美どり 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90278177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮沢 裕夫 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (90147637)
中村 浩志 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00278178)
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20350829)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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Keywords | 歯髄細胞 / 再生医学 / 石灰化機構 / 硬組織再生 / BMP / annexin / Slc20a2 / 骨髄細胞 |
Research Abstract |
歯髄は、脱落乳歯や歯科矯正治療における便宜抜去歯などから容易に採取可能であり、自己移植材料として有用と考えられる。我々は、マウスの下顎切歯から採取した歯髄および歯根膜組織を用いた簡便な培養方法の確立を目指してきた。その結果マウス歯髄から採取した細胞は高いアルカリホスファターゼ活性を有しており、in vitroおよびin vivoにおいて強力な石灰化能を有していることが明らかとなった。これらの培養系をさらに発展させ、ヒト由来の歯髄細胞および歯根膜細胞の培養系を確立し、これらの細胞の有用性を明らかにすることを目的として、臨床応用に向けた橋渡し研究として遂行する。 マイクロアレイ解析の結果より、培養歯髄細胞は骨芽細胞に比べて、カルシウムおよびリン酸の濃度調節因子(annexin A8及びSlc20a2)のmRNA発現が高く、石灰化に有利であることが示唆された。骨芽細胞の石灰化はBMPに依存していた。一方、歯髄細胞はBMP非添加およびBMPアンタゴニストであるNoggin存在下においても、高い石灰化能を示した。そこで、骨芽細胞にannexin A8及びSlc20a2をそれぞれ過剰発現させたところ、BMP非存在下においても著しく石灰化するようになった。特にannexin A8の過剰発現による石灰化亢進が顕著であった。一方、培養歯髄細胞においてsiRNAによりannexin A8及びSlc20a2の発現をそれぞれ抑制すると、石灰化能が著しく低下した。 我々は現在、自己血清を用いたヒト骨髄細胞由来間葉系細胞の培養系を確立中である。厚生労働省の「ヒト幹細胞指針」承認を得たこの研究は、信州大学医学部附属病院先端細胞治療センター(Cell Processing Center : CPC)との共同研究であり現在までに6名の患者への細胞移植を行うことが出来た。そこで、このCPCを用いた細胞調製システムをさらに発展させ、歯髄や歯根膜組織を材料にした細胞培養システムを完成させたい。
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