2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592651
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉岡 昌美 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90243708)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野出 大輔 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70189801)
横山 正明 徳島大学, 病院, 助教 (10314882)
|
Keywords | 口腔保健 / 嚥下食 / 口腔衛生状態 / 唾液分泌量 / 齲蝕活動性 / 特性測定 / 口腔内残留 |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続き臨床研究として、術前に経腸栄養剤を飲用し、術後、絶食から一定期間嚥下食摂取をした後常食にいたる食道癌の周術期患者を対象として、術前約7日前の栄養剤摂取前(E1)、術前約3日前の経腸栄養剤飲用期間中(E2)、術後約8日後の嚥下食摂取前(E3)、嚥下食摂取期間中(E4)、常食摂取期間中(E5)の5つの時期で口腔内診査および唾液分泌量測定、齲蝕活動性試験、Plaque Index (PI)測定等を行った。対象者21名中、E1~E5すべての時期にデータが得られたのは6名であり、まずこの6名のデータを分析した結果、E2に比べてE3で安静時唾液量が減少しており、E4からE5の時期に回復している傾向がみられた。また、PIはE3よりE4、E4よりE5で増加するケースが多かった。さらに、嚥下食摂取の影響を見るためE3とE4のデータが揃っている12例について分析を進めたところ、この時期にほとんどのケースで刺激唾液量の増加、PIの増加を認め、さらに舌背のミュータンス連鎖球菌数が増加するケースが多いことが明らかとなった。 一方、基礎研究としては、嚥下補助食品(トロミ剤)を用いて調整した飲料の物性と口腔内残留量の関連性を調べるための予備実験を行った。すなわち、デンプンを主原料とするものとキサンタンガム系の2種類のトロミ剤を市販の水あるいは緑茶に添加したものを用いて物性測定、官能評価および口腔内残留量の測定を行った。その結果、デンプンを主原料とするものは、唾液に溶けやすいという特性から嚥下物性が劣るということがわかった。一方、キサンタンガム系のトロミ調整食品は嚥下物性としては優れているが、嚥下障害者では口腔内残留も多くなる可能性があることが示唆された。
|