2010 Fiscal Year Annual Research Report
背部温罨法による上肢の皮膚温上昇に影響を及ぼす知覚神経、交感神経系の基礎研究
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21592708
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
塚越 みどり 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (60405016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 健悟 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (60291572)
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Keywords | 背部温罨法 / 皮膚血流 / 皮膚温 / 皮膚交感神経 / 温熱刺激 |
Research Abstract |
本年度は、以下の2つの実験(1)安静仰臥位における上肢皮膚温、指尖部血流量の検討(2)60℃の蒸しタオルによる10分間の背部温罨法を実施した。(1)は、体幹と四肢では、血管網の構造のちがいから血流を調節する機構が異なるが、刺激に応じて皮膚血流は、大きく変化するので仰臥位における平均的な傾向を明確にすることを目的とした。仰臥位60分間における体幹、上肢皮膚温と指尖部の皮膚血流を測定した。臥床直後、背部、皮膚温、皮膚血流量は振幅の大きい値が計測されたが、10分経過後より安定した値を示した。皮膚血流量は約40分後に最大となるが、60分後には20分値とほぼ同様の値となった。上肢各部位の皮膚温は、ほぼ変化なく経過し、変動は0.1~0.2℃以内であった。被験者全員は、実験終了時まで、身体の特定部位や手が温かさは自覚していなかった。したがって、健常者女性では、安静臥床において指尖部皮膚血流は一時的に変化するが、皮膚温の変化としては検出されないことが示唆された。(2)は、実験群、コントロール群を設定し、各群を異なる日程で実施し、背部、上肢、手の皮膚温、血流を測定した。罨法の実施中は適用部位の著しい皮膚温上昇のほか、実施直後より指尖の皮膚温が約1℃上昇し、終了後も上昇を続けた。指尖部皮膚血流は、罨法実施中に最大となり安静時より約1.5倍増加した。罨法終了30分後の各部皮膚温を安静時と比較すると指尖部の皮膚温は最も上昇していた。しかし、上腕や前腕は指尖部ほどの上昇はない。温罨法によって指尖の動静脈吻合の開大が皮膚温上昇、血流増加に貢献していることがわかる。皮膚交感神経活動の抑制のほか、皮膚血管に分布する受容体(TRPV3)、神経伝達物質(CGRP)の関与が考えられる。現在、ラットの皮膚血管、および神経節で交感神経皮膚血管に分布する神経、および受容体を検討している。
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Research Products
(1 results)