2011 Fiscal Year Annual Research Report
手術を受ける高齢者の睡眠・覚醒リズムの変化に関する研究
Project/Area Number |
21592709
|
Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
有田 広美 福井県立大学, 看護福祉学部, 准教授 (30336599)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 悦子 名古屋大学, 医学部, 教授 (00107947)
小林 宏光 石川県立看護大学, 教授 (20225535)
大島 千佳 名古屋大学, 医学部, 准教授 (30405063)
|
Keywords | 高齢者 / 周手術期 / 睡眠・覚醒リズム / アクチグラム |
Research Abstract |
本研究は、手術を受ける高齢者の睡眠・覚醒リズムの変化を明らかにすることを目的としている。 平成23年度は、手術を受ける高齢者の睡眠覚醒リズムの調査を行った。65歳以上で睡眠障害がなく睡眠剤を使用していない者、睡眠の主観的評価に回答できる者、かつ全身麻酔での手術を予定している高齢者を対象とした。方法は、(1)手術の2~3日前と術後5日間のアクチグラフ装着による睡眠・覚醒パターンの測定、(2)病室の光と音の環境測定、(3)尿中メラトニンの測定、(4)入院前の睡眠障害のスクリーニングとしてピッツバーグ睡眠質問票、(5)OSA睡眠質問票、(6)Visual analog scaleを用いた睡眠感の測定、(7)日本語版NEECHAMスケールを用いた術後せん妄発症の観察、とした。 結果、対象者は16名で平均年齢は73.6±5.2歳で女性4名、男性12名であった。すべて全身麻酔の手術を受けており、麻酔時間340.9±124.8分(最長510分、最短245分)であった。術式はCABG8名、弁置換および弁形成術4名、腹腔鏡下結腸切除術2名、開腹による結腸切除術1名、PD術1名であった。 アクチグラフの解析では、21-6時までを「夜間」とし、6-21時までを「日中」として分析を行った。夜間睡眠率の術前の平均は81.9%であったが術後1日目から低下し、術後4日目の夜間睡眠率は40.6%であった。日中睡眠率は、術前9.1%に対し術後1日目は43.7%、術後4日目でも12.5%であった。 術後1日目の日中は「眠い」という訴えが多かったが、術後2日目夜間から疲労感や不眠感、創痛を訴え眠剤あるいは鎮痛剤を投与された対象者が11名いた。尿中メラトニンは、術後でも深夜にメラトニン分泌がピークになるというリズムを示していた。手術当日の夜は振幅が小さかったが、術後1日目はメラトニン排泄量は増加していた。術後2日以降は、術後1日目より排泄量が減少する対象者が多かった。術後の手術侵襲による疲労と創痛が睡眠・覚醒リズムを乱す要因であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の3点の理由が挙げられる。2施設で倫理審査を受けるのに時間を要した。調査開始可能となっても、条件を満たす対象者が常に確保できるとはいえず、また拒否されることもあったので対象者に同意を得るのが難しかった。一人の対象者につき1週間の調査期間を要するので、本来の教育業務に支障を来さないように調整しなければならず調査のペースを急ぐことは困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後もデータ収集を継続する予定である。しかし、分析の結果、術後の高齢者に多様な睡眠・覚醒パターンが見られたので統計的な分析は妥当とは思えない。よって、計画時の対象者数にこだわらずパターンが飽和した状況で予定数に満たなくても終了し、分析・まとめに移る予定である。
|