2011 Fiscal Year Annual Research Report
項目反応理論を用いた病気の家族メンバーをもつ家族の家族機能モデルの構築
Project/Area Number |
21592810
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
中村 由美子 青森県立保健大学, 健康科学部・看護学科, 教授 (60198249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗村 弥生 青森県立保健大学, 健康科学部・看護学科, 講師 (10366370)
内城 絵美 青森県立保健大学, 健康科学部・看護学科, 助手 (80457738)
伊藤 耕嗣 青森県立保健大学, 健康科学部・看護学科, 助手 (70610814)
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Keywords | 看護学 / 家族機能 / 項目反応理論 / 共分散構造分析 / 尺度開発 |
Research Abstract |
研究最終年度である今年度は、震災の影響で遅れた対象施設へ調査用紙配布を前年度に引き続き行った。最終的に、(1)外来化学療法を受けているがん患者の家族128通(回収率46%)(2)老人保健施設を利用している高齢者の家族125通(68%)を回収した。 データは、研究協力者であるがん看護専門の研究者、高齢者看護の専門である研究者とともに分析を進めた。「家族機能尺度」「QOL尺度」「介護負担感尺度」「日本語版POMS」を分析した結果、がん患者の家族の「家族機能」と「介護負担感」との関連では<介護の受け止め>と<健康状態への影響>の2つの項目が家族機能に影響を与えており、「QOL尺度」との関連では<仕事環境><居住環境><健康><友人関係>が家族機能に影響を与えていたことから、医療者は社会的資源の活用方法の情報提供や家族間での協力体制づくりなどの支援の必要性が示唆された。高齢者家族の特徴として、POMSより介護期間3年以上の者の<活気>が低く<緊張・不安><抑うつ・落ち込み><疲労>が高く、介護期間の長期化により疲労やストレス度が増すことが明らかになった。 共分散構造分析を用いた高齢者・がん患者の家族の家族機能モデルの構築においては、<家族の問題解決>が<癒し>に影響を及ぼしており、問題解決という具体的な手段が、病気の家族メンバーがいる家族にとっては重要な機能であることが推察できた。家族看護学における目標は、家族自身が健康問題に対応できるようにセルフケア機能を高めることであり、家族自身の問題解決方法をも視野にいれた看護援助の必要性を示唆していることが考えられた。さらに項目反応理論(Item Response Theory)を用いて家族機能測定尺度の項目のさらなる洗練化を図り、我が国独自の家族機能測定尺度を完成させることができた。
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