2011 Fiscal Year Annual Research Report
入院中の高齢者のせん妄発症にかかわる環境因子のリスクコントロール
Project/Area Number |
21592906
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
粟生田 友子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (50150909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川里 庸子 新潟県立看護大学, 看護学部, 助手 (90597907)
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Keywords | 高齢者 / せん妄 / 環境因子 / リスクコントロール |
Research Abstract |
本研究の目的は、せん妄発症に関わる物理的・人的な環境因子を特定し、その環境因子に対して高齢者が示す心理社会的反応を判断できる観察視点を明確にすること、またその環境因子に対して高齢者が示す心理的な反応から発症リスクを予測し、環境による発症リスクを軽減する具体的な方法を提示することである。 平成23年度はせん妄発症の実態を2施設で調査し、どのような環境因子が具体的に発症に関与したかを検討し、ケアの方法を導いた。 データ収集のための概念枠組みは、せん妄発症因子として、(1)物理的環境要因(音、光、色、ベッドなど)、(2)人的要因(ケア提供者や家族など)および(3)治療・身体要因(疾患、バイタルサインズ、血液等検査データ、生活自立度、活動制限など)を分類し、環境因子により、せん妄発症の有無に差があるかを2群の比較関連研究デザインによって抽出した。さらにせん妄発症者の主観的なデータを事例ごとに分析し、看護師の観察に基づいて主観的情報からのアセスメントの可能性を検討した。 結果、1)対象者108名、DRS-R-98による評価でせん妄群21名、非せん妄群87名(発症率19.4%)で、年齢はせん妄群の方が有意に高く(<.05)。発症日は入院後3日以内が15名であった。2)人的・物理的な環境に関して2群間に差があった項目は、<部屋の位置><看護師の訪問頻度><緊張感を助長する検査の有無><他の患者との交流><不安を助長するものがある>(<.05)で、主観的環境認知は、<他の患者との交流><不安を助長するものがある>(<.05)。3)主観的環境認知の測定不能例が6名で発症パターンが特定された。4)看護師による聞き取りでは、主観的な環境認知の特性として、患者の苦痛の訴えの様態、入院時の患者の行動などが観察され、観察可能な患者の様態が抽出された。 本研究から、せん妄発症する高齢者の環境因子、心理的な反応の特性、観察可能な様態を看護ケアに具現化する必要性が示唆された。
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