2009 Fiscal Year Annual Research Report
患者-看護師関係における境界概念モデルの構築及び境界調整に関する技術的要素の抽出
Project/Area Number |
21592912
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
牧野 耕次 The University of Shiga Prefecture, 人間看護学部, 助教 (00342139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比嘉 勇人 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70267871)
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Keywords | 患者-看護師関係 / over-involvement / under-involvement / 境界 / involvement / 巻き込まれ / 距離 / かかわり |
Research Abstract |
精神科看護師が患者とのかかわり(involvement)においてどのように境界を調整しているかを明らかにすることを目的に初年度の研究を行った。精神科に勤務する7名の看護師にインタビューを行いその逐語録を質的帰納的に分析した。 結果、「外的調整」「情報の調整」「内的調整」「境界線の調整」「主体性の尊重」「境界の緩和」の6カテゴリーが抽出された。「外的調整」において、看護師はチームに対して患者とのかかわりに関する相談を行い、病棟内の決まりごとに関する調整を行っていた。また、患者とのかかわりにおいて一人で対応することに限界を認めた場合は、他の看護師や医師と対応を替わることや応援を呼ぶことで外的な人材により境界を調整していた。「情報の調整」において、看護師は患者が病棟内で希望する行動等に関するフィードバックを率直に返していた。また、患者看講師双方の希望や言動の理由を確認していた。看護師の個人情報については、必要に応じて伝える範囲を調整していた。「内的調整」において、看護師は患者との心理的及び物理的距離を調整し、感情に気づき操作することで、かかわりにより生じる自己の感情に対応しようとしていた。また、患者の症状や能力を見極めつつかかわっていた。「境界線の調整」において、看講師は、他患や他の看護師に配慮し、どこまで患者にかかわるのかを判断していた。時には仕事の枠を超えて患者に関することに従事していた。「主体性の尊重」において、看護師は患者の個性を保証し、自主性を促すことにより主体性を尊重していた。「境界の緩和」において、看護師は境界を明確にするだけでなく、患者との信頼関係の構築やサポートを強化するために境界を意識させないようにかかわっていた。 患者-看護師関係における境界は不可視であり経験を積む中で意識し調整できるものである。従って、本研究は看護師の養成や新人教育の一助となると考えられる。
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