2010 Fiscal Year Annual Research Report
患者-看護師関係における境界概念モデルの構築及び境界調整に関する技術的要素の抽出
Project/Area Number |
21592912
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
牧野 耕次 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助教 (00342139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比嘉 勇人 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70267871)
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Keywords | 患者-看護師関係 / 精神科看護 / 境界 / involvement / かかわり / 成功例 / 質的帰納的研究 / 半構成インタビュー |
Research Abstract |
昨年度は、精神科看護師による境界の調整に関する技術的要素を明らかにした。本年度は、精神科看護師が境界の調整をどのように身につけてきたのかを明らかにする目的で、関西圏にある精神病院2施設に勤務する看護師のうち研究協力に同意の得られた15名を対象に1対1の半構成インタビューを行った。逐語録を質的帰納的に分析した結果、以下の7カテゴリーが抽出され、精神科看護師が境界の調整を身につけてきたプロセスが示唆された。 対象者は【看護師の土台である個人の影響】を持ちながら、最初は精神科以外の病棟や看護学校、風土の違う他の精神病院など【境界の調整を意識しない環境】から現在の精神病院に勤務していた。看護チームに関連した【境界の調整の阻害要因】などもあり、最初は境界の調整をよく認識できずチームと患者間の「板挟み」や患者に近づけないことなどの【境界の調整の困難指標】が見られた。しかし、成功例ができることや振り返りなどの【境界の調整の発達個人要因】および、チームのバックアップや他者の境界の調整を見ることなどによる【境界の調整の発達外部要因】により、自身の傾向に気づき自分の限界を知るなどの【境界の調整の指標】が見られるようになっていた。 精神科看護師が境界の調整を身につけてきたプロセスおよびそれを構成する要因や指標が示唆されたことで、精神科における臨床現場に即した教育が可能となると考えられる。意識されにくい境界の調整が教育可能になることで、より患者に即した看護が可能になると推察される。
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Research Products
(1 results)