2011 Fiscal Year Annual Research Report
患者-看護師関係における境界概念モデルの構築及び境界調整に関する技術的要素の抽出
Project/Area Number |
21592912
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
牧野 耕次 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助教 (00342139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比嘉 勇人 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70267871)
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Keywords | 境界 / かかわり / involvement / 自己決定 / グループインタビュー法 / 看護師 / 患者-看護師関係 / 傾聴 |
Research Abstract |
本研究では、総合病院に勤務する看護師の境界の調整に関するモデルを抽出することを目的に総合病院に勤務する係長および主任14名を対象に7名1グループのインタビューを実施した。グループインタビュー法のアプローチによる逐語録の分析の結果、【自己決定を促す】【患者の話を聴きながらアセスメントする】【できることを行ってもらう】【付き添えず一人で対処することを支える】【患者や家族の圧力に対処する】【仕事とプライベートを分ける】【境界があいまいになる】からなる看護における境界の調整に関する7モデルが抽出された。 本邦における看護では、欧米ほど個を重視せず和を重んじるためか、共感や受容などを重視し、境界を調整するということに対して意識しなかったり、抵抗がみられたりする場合がある。本研究結果においても、インタビュー開始直後、具体的な場面が語られるまでは、自分たちがイメージする場面が境界を調整する場面として適当なのか自信が持てない様子が見られた。境界と言えば、区切ることが最初にイメージされることも看護師がこの概念に抵抗を示す一因とも考えられる。しかし、境界を調整するというのは区切ることだけではなく、本研究結果では、看護師が患者やその家族の話を聴くことが重要な位置を占めていた。まず、一旦患者やその家族の思いを受け止めることなく境界を調整することは、患者やその家族、さらには看護師の抵抗を生むことになると考えられる。Bennerらが、境界に関する仕事をかかわりの技能の中で捉えることを提案しているのも、境界だけを強調することの危険性を考えているからであると推察される。すなわち、傾聴、受容もしくは共感することは、患者と一体化することではないので、そこに境界を調整することが含まれていると考えられる。
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Research Products
(1 results)