Research Abstract |
本研究の目的は、都市部地域における高齢者と子どもの世代間交流を評価し得る根拠に基づく指標の開発である。世代間交流による、高齢者個人、子ども個人への効果として、「教える/教えられるという行動面」「感情・情動面」「コミュニケーション」が活発になり、観察しうるとの仮説のもと、高齢者個人、子ども個人の様子を実践者や研究者が観察し、チェックする方式の暫定版観察スケールを作成した。今年度は予備研究を経て作成されたCommunity Intergenerational Scale for elders and children(CIOS-E,CIOS-C)の信頼性、妥当性の検証を目的に研究を進めた。CIOS-Eは22項目の主成分分析を行い,初期の固有値,因子のスクリープロットより,3因子構造,あるいは4因子構造と思われた.因子数を3や4と設定し,因子負荷量が0.35以下のものを除外し,最もきれいに収束したと考えられた18項目,3因子構造を採択した。累積寄与率は51.9%であった.なお,因子の内的整合性を示すα係数は,(1)0.916,(2)0.738,(3)0.706,18因子全体では0.872であった.またCIOS-Cについては、20項目の主成分分析を行い,初期の固有値,因子のスクリープロットより,3因子構造,あるいは4因子構造と思われた。因子数を3や4と設定し,因子負荷量が0.35以下のものを除外し,最もきれいに収束したと考えられた16項目,3因子構造を採択した.累積寄与率は49.2%であった.なお,因子の内的整合性を示すα係数は,(1)0.842,(2)0.786,(3)0.773,16因子全体では0.867であった.因子間の相関は0.274~0.49であった.今後は基準関連妥当性の検証として既存の尺度との併存妥当性の検証ならびに信頼性の検証として観察者間一致率の検証が課題である。
|