2011 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性および神経障害性疼痛におけるCCL3、CCR5の関与
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21600011
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / Seltzerモデル / 末梢神経 / DRG / マクロファージ / 極性 / arginase-1 / iNOS |
Research Abstract |
神経障害性疼痛の発症にはミクログリアやマクロファージが関わることが示唆されており、神経障害性疼痛の動物モデルの坐骨神経部分結紮モデル(Seltzerモデル)マウスでは、後根神経節(dorsal root ganglia;DRG)にマクロファージの浸潤が認められることが報告されているが、そのマクロファージの詳しい機能種や役割は分かっていない。そこで本研究では、神経障害性疼痛の病態時の傷害された末梢神経とDRGにおけるマクロファージの誘導およびその機能種の検討を行ったところ、結紮後1日目の坐骨神経傷害部に、iNOS陽性・CD86陽性・Arginase-1(Arg-1)陰性のM1マクロファージと好中球の浸潤が認められ、3日目には著明に増加した。一方、結紮後2日目の傷害側のDRGでマクロファージの有意な増加が認められ、それらのマクロファージの多くが、予想に反してArg-1陽性、iNOS陰性のM2マクロファージであり、その多くはCD206陽性/CD163陽性であることからM2aタイプであり、一部はCD206のみ陽性であることからM2cタイプであることがわかった。M2aクロファージが分泌するIL-10は、炎症性サイトカインの分泌を減少させることから、神経障害性疼痛の症状の抑制に重要な役割を果たしている可能性があると考えられる。脊髄後角においては、結紮後3日目から傷害側においてiba-1陽性のミクログリアが増加し始め、1週間目にピークに達しその後減少した。CD86陽性のM1ミクログリアは後角I~III層に分布し、CD206陽性/CD163陽性のM2aミクログリアは主として後角IV/V層に認められた。ミクログリアの極性により後角内での分布が異なることは興味深い。
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