2010 Fiscal Year Annual Research Report
基質認識特性に立脚した新規アミラーゼ阻害剤の分子設計
Project/Area Number |
21603001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川端 潤 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60142197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 英介 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (40466446)
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Keywords | α-アミラーゼ / 酵素阻害剤 / 糖尿病 / 分子設計 |
Research Abstract |
消化管α-アミラーゼの阻害は肥満、糖尿病抑制に効果的である。実用的な低分子阻害剤が知られていないα-アミラーゼについて、酵素の独特の基質認識機構、すなわちα-アミラーゼが触媒部位であるグルコシド結合だけではなく、そこから上流部と下流部に連なるグルコースの連鎖を認識するサブサイト部位をもっていることに着目し、酵素阻害につながる反応部位と基質認識を向上させるサブサイト結合部位の両方を適当なリンカーで結んだ分子を合成し、活性評価を行った。また、コンピュータを用いた計算化学的手法により、最適構造分子の設計をあわせて行った。 まずα-アミラーゼの触媒活性阻害ユニットとして、既存のグルコシダーゼ阻害剤デオキシノジリマイシン(D)をもち、その上流側にリンカー(L)を介してサブサイト認識グルコース(G)を配したGLD型分子として、L部にこれまで(C6-12)より長いC15および短いC4,C5の炭化水素鎖をもつ各化合物を、前年度確立した方法により合成した。合成した各鎖長のリンカー部をもつ化合物について、酵素源に市販のブタ膵臓アミラーゼ、基質にジニトロフェニルマルトオリゴ糖を用いた阻害活性試験を行った結果、C15,C4,C5ともこれまでの鎖長の化合物より活性が低下し、最適鎖長はC12であることがわかった。この結果は、分子計算による酵素タンパク質への最適合分子構造とは一致しなかった。また、より近傍の-3サブサイトへの親和性を狙ったC4,C5がほとんど活性を示さなかったことから、単にサブサイト(G)と活性部位(D)の距離だけではなく、L部の剛直性や疎水性など他の要因を慎重に考慮する必要があることがわかった。
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Research Products
(2 results)