2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園園庭における環境デザインと教育的意義に関する生態システム論的研究
Project/Area Number |
21610013
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
浜田 壽美男 奈良女子大学, 名誉教授 (50113105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬渡 章子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (60179348)
西村 拓生 奈良女子大学, 文学部, 教授 (10228223)
本山 方子 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (30335468)
天ヶ瀬 正博 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (00254376)
鈴木 康史 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (40323282)
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Keywords | 園庭 / 環境デザイン / 生態システム論 / 子ども学 / 幼稚園 |
Research Abstract |
1.園庭の歴史的変遷についての調査:1912年に保育が開始された奈良女子高等師範学校附属幼稚園の史料を収集し、園庭の形態の変遷と幼稚園教育実践における園庭の役割や機能の変遷、園庭の成立過程の検討を行った。創設時は元小学校を代用園舎としており、平坦で複数箇所に園庭があった。「自由遊戯」の保育が導入されるにつれ、「変化のある園庭」とそこでの「日々の指導」が重視されるようになった。大正時代末以降は急速に整備され、集団遊びや模倣遊戯、栽培など遊びや活動の特徴に応じた園環境がつくられていった。 2.園庭デザインの今日的特性についての調査:園環境をよく工夫している幼稚園について、保育参観含めて実地調査を行った。限られた屋外の環境資源について「特徴づけ」を行うことで園児の自主的な活用を促していた。植栽を工夫し、日常的な栽培経験を可能にすると共に、隠れ場となる空間を設置していた。隣接する小学校の校庭に対して開放的であるなど「境界づけ」についても特徴を有しており、保育理念の明確化によって、園独自の園庭デザインが促されていることが明らかになった。 3.園庭利用の実際と子どもの活動の実態についての調査:私立A幼稚園における「におい」のアートワークショップにおいては、子ども・保育者とも「においをかぐ」ことを通して園庭を探索し、園庭ににおいを見いだすこと自体を楽しむと共に、それまで見過ごしていた季節的変化を発見し、日常の遊びの世界を拡張させた。公立B幼稚園において子どもの「投げる」行為に着目すると、投てき物や的によって動作を調整したり、当たり方の違いによって的となる植物の季節的変化に気づいたり、築山の利用でより高度な身体技巧を促すなど、身体能力の向上と共に、身体動作によって子どもの園庭理解が促されることが明らかになった。公立C幼稚園での園庭でのレストランごっこでは、調理場と食堂、会計など、巧みな「境界づけ」によって遊びが展開されることを明らかにした。
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Research Products
(14 results)