2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの色認識の原理に基づいたカラーユニバーサルデザイン自動設計法開発の基礎研究
Project/Area Number |
21650071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 啓 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (00311192)
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Keywords | 色覚 / 色盲 / バリアフリー / ユニバーサルデザイン / CIE xy色度図 / 混同線 / シミュレーション |
Research Abstract |
昨年度解析を始めた、1050色の色票を色名に従って被験者に分類してもらい、「ある色名の範囲内に感じられる色」と「その中でもっともその色らしいと感じられる色」の分類を行う実験で、L錐体を持たないP型(1型)色覚の人に続き、M錐体を持たないD型(2型)色覚の人の解析を行った。D型ではP型よりもC型と知覚が一致する色の種類が若干多かった。3つの色覚タイプを合計すると、赤・ピンク・オレンジ・クリーム・黄色・緑・水色・青・黒ではどの色覚タイプでも同じ色名に感じられる色域が見つかったのに対し、茶色・ベージュ・黄緑・薄緑・青紫・薄紫・紫・赤紫・灰色ではどの色覚タイプでも同じ色名に感じられる色域の範囲が狭く、これらの色で共通の色認識を得る困難さが判明した。 また、これまでの知見をベースにして分かりづらい配色を分かりやすい配色に自動的に置き換えるシステムの試作として、昨年度までに作成したどの色覚でも比較的分かりやすい配色セットを用いて、近隣の色域の色をこれら20色の方向ヘシフトさせるアルゴリズムの開発を始めた。境界部の色の扱いが難しく、まだ安定して動作するシステムには至っていないが、今後引き続き検討を継続する。 並行して、テレビ放送局からの依頼を受け、従来から各放送局で使用色が統一されておらず、しかも混同しやすい色があると視聴者からクレームが寄せられていた津波・大津波警報の画面表示について、より見やすい配色の検討を行った。このシステムには津波注意報・津波警報・大津波警報の3色の表示色と、陸地・海の2色の背景色の、合計5色が必要であり、しかも注意や警戒感を呼び起こすことができる色の範囲は限られている。数十種類の試作画面を被験者によって比較検討した結果、黄・赤・赤紫の表示色と灰色・濃紺の背景色を用いた組み合わせが最適と判断され、実際に放送局の警報システムに組み込む検討が始められた。
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Research Products
(2 results)