Research Abstract |
本年度は,腎部分切除マウスに高リン飼料を与えた血管石灰化モデルを対象に予備実験を行った.まず,マウス・インビボ観察に基づく評価を目的として構築した傾斜型インビボCTシステムの有用性・妥当性について検討した.特にX線暴露の骨への影響を確認するため,マウス膝関節部に対して異なる照射頻度(1回/2週間,1回/4週間,1回/8週間)で8週間に渡るCT計測を行った.1回あたりの照射量は可及的に減らし(<800mGy),ボクセル分解能は15μmを維持した.CTによる骨形態特性(海綿骨体積分率,骨梁数,骨梁幅,結合性),赤外線分光顕微鏡法による材料特性(骨ミネラル,アパタイト結晶化,コラーゲン架橋),ナノ・インデンテーション試験による力学特性(弾性率,ハードネス)について計測した結果,X線の影響は1回/2週間の照射頻度で形態特性,特に海綿骨ボリュームに著しく影響することが明らかになった.骨梁幅への影響は殆どなかった.これより低い照射頻度では骨形態への影響は小さく,材料特性,力学特性のいずれにもX線照射の影響は確認されなかった.しかし,照射頻度が低い場合でも,大腿-臀部の一部が脱毛する個体が見られ,X線防護の再検討を要した. また,マウス血管石灰化モデルおよび疑似手術マウスについて,インビボCT予備実験を1回/4週間の頻度で12週に渡って行った.海綿骨形態解析の結果,8週目までは両群の骨形態には差が見られなかったが,12週目に血管石灰化モデル群において,疑似手術マウスに比べて海綿骨ネットワークの後退が確認され,本モデルが骨粗鬆症の病態も伴うことが窺われた.大動脈の石灰化については現在検討中である.
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