2009 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化と火山活動監視に向けた富士山頂の永久凍土モニタリング
Project/Area Number |
21650236
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
池田 敦 Shinshu University, 山岳科学総合研究所, 研究員 (60431657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩花 剛 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特任助教 (70431327)
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Keywords | 永久凍土 / 火山 |
Research Abstract |
富士山山頂部はその標高ゆえに日本では特異な寒冷環境にあり,現在でも永久凍土(通年0℃以下にある地盤)がまとまって存在できる本州で唯一の場所であると考えられる.しかし,富士山の永久凍士分布は,これまで地表面付近の地温から非常に粗く見積もられていたに過ぎず,その実態はほとんど不明であった.平成21年度は,多地点における地温観測により,山頂部で永久凍土が存在できる場所はごく限られている可能性が高いとの結論を得た. 人力で担ぎ上げられる各種の機材を持ち込み,地温観測孔の掘削を試みたが,粘着性に乏しく固い火山礫が混ざる土質と,低酸素による機器の低出力に終始悩まされた.しかし,多地点における浅層(永久凍土層より浅い位置)の地温データから,山頂のリッジ上と北西~北向き斜面の最上部(標高3500m以上)には永久凍土が分布すると予想された.その分布範囲は,ごく浅層の地温観測から先行研究が推定していた範囲よりもはるかに狭い.とくに山頂火口縁の緩斜面上において,積雪が吹き払われる地点(風衝地)では夏季の降雨浸透が,積雪が吹きだまる地点(風背地)では積雪による冬季の寒気遮断がそれぞれ地温を高く保っており,永久凍土の発達を阻害していることが明らかになった. 本研究結果を受け,来年度には掘削業者と契約し山頂稜線上に深さ約10mの地温観測孔を設置する予定である.それにより永久凍土本体の地温モニタリングも可能になると思われる.
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