2010 Fiscal Year Annual Research Report
一次元応力(メガ重力)を利用するナノ傾斜構造化の実現
Project/Area Number |
21651044
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10151648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高藤 誠 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50332086)
澤田 剛 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90240902)
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Keywords | 超重力 / 傾斜構造 / 立体選択的反応 |
Research Abstract |
本研究課題は、新奇機能材料を創製する新しい手法を開発・確立することを目的として、超重力場中での有機反応や重合反応を実施し、またソフト材料とハード材料から継ぎ目なく組成傾斜させることによって生成する機能傾斜材料を作製することを目的としている。 (1)前年度では、アクリル酸とアルカリ金属によるイオン交換体の混合当量物を作製し、傾斜構造化がカリウムイオン/水素イオンの間でもっとも顕著に確認されることを報告したが、初期段階で含まれる水分量が傾斜構造化に大きく寄与していることが判明した。そこで水分量を精密に調整し、各種のアルカリ金属イオンについて調査したところ、これまで傾斜構造化の進みにくかったカリウム/ナトリウム混合系(より原子量差が小さな混合系)においても傾斜構造化が促進できることを確認された。おそらく、水含量によるイオンの拡散速度の変化が大きく寄与しているものと考えられる。 (2)前年度では、桂皮酸メチルとトリクロロブロモメタンとの付加反応を超重力場で実施し、20万G以上の重力場においては、1G条件下では生成しないクロロおよびトリクロロメチル基が付加した物質の生成が確認された。反応メカニズムを調査するため、桂皮酸メチルに変えてエチルやブチル、オクチル化合物に対して同様な反応を実施した結果、モノマーの分子比重が小さくなるほど、立体選択性が変化することが明らかになった。一方で、桂皮酸メチルにおいて、ラジカル種の生成量の効果について検討したところ(トリクロロブロモメタンの割合を増加させたところ)、同様に立体選択性が変化することが確認された。以上の結果は、反応の遷移状態においてひずみが生じたりしていることが推測されるものの、超重力場において反応種の濃度勾配が形成されている可能性が示唆された。次年度はこの知見を活かしたさらなる新奇反応の検出にチャレンジする予定である。
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