2011 Fiscal Year Annual Research Report
一次元応力(メガ重力)を利用するナノ傾斜構造化の実現
Project/Area Number |
21651044
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10151648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高藤 誠 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50332086)
澤田 剛 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90240902)
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Keywords | 超重力 / 傾斜構造 / 立体選択的反応 / ペプチド合成 |
Research Abstract |
本研究課題は、新奇反応の開拓や機能材料を創製する新しい手法を開発・確立することを目的として、極限環境場としての超重力場に着目し、各種モデル反応をデザインしながら有機反応や重合反応を実施している。前年度までに、当初目標であったアクリル酸の重合ならびに重合に伴うアルカリイオン濃度の傾斜化について検討し、アルカリイオンの種類によって組成傾斜化が起こることを確認しているので、本年度は、組成傾斜化の駆動力の一つとなる拡散速度との相関性について調査した。 1.組成傾斜化に及ぼす水含量の影響について ポリメタクリル酸を高分子電解質として選択し、そのカリウム塩との等量混合物に対して重力場を作用させたところ、カリウムイオンに関して明瞭な組成傾斜が生じることを確認した。一方、同様な実験を、添加水量を0-50重量%の範囲で変化させて調査したところ、傾斜組成の逆転が生じる含有量が存在することが確認された。これについては現在、引き続き調査中である。 2.有機反応のカオス化へのチャレンジ 組成の傾斜化は、重力方向に対して不均質な反応ミクロ環境の形成を示唆しているので、この状態は、むしろ反応性のカオス化(新奇な副反応を誘発・多発)を導く可能性があると推測し、当初計画にはない、有機反応(低分子有機反応系および重合反応系)におけるカオス化を探求した。具体的には、2種類のアミノ酸を固体状態で重力揚に曝し、生成物を分析する手法を採用した。ロイシンとフェニルアラニンにおいて実施したところ、1G条件下ではほとんど生じないペプチド生成が比較的低温で生じること、また生成するペプチドに重合度分布が生じることを確認し、有機反応場としての超重力場の新たな展開に繋げることができた。
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Research Products
(3 results)