2009 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母全ノックアウト株の寿命測定と新規寿命遺伝子の探索
Project/Area Number |
21651083
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
向 由起夫 Nagahama Institute of Bio-Science and Technology, バイオサイエンス学部, 准教授 (60252615)
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Keywords | 寿命 / 酵母 / 老化 / ノックアウト株 / ゲノム機能 |
Research Abstract |
寿命は生物種によってほぼ一定であり、老化は遺伝的にプログラミングされている。主要な生物のゲノム情報が得られているにもかかわらず、どれだけの遺伝子が寿命や老化に関わるかは明らかでない。本研究の目的は、真核モデル生物である出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの分裂寿命を決める遺伝子を網羅的に解析することにより、真核生物の寿命制御メカニズムを解明することである。出芽酵母の分裂寿命は一つの細胞が死ぬまでに産む細胞を数えることにより決める。従来の測定法では、生育可能な約4,800株の酵母ノックアウト(KO)コレクションの分裂寿命を測定するために多大な労力と時間を要する。そこで、増殖を指標とする分裂寿命アッセイ系を利用することにより、大規模にかつ簡便に分裂寿命を測定し、寿命に関わる遺伝子を網羅的に同定することを計画した。 平成21年度には、増殖を指標とする分裂寿命アッセイ系を構築することができた。母細胞だけで発現させるためのHO遺伝子プロモーターに生育に必須なCDC6遺伝子を連結したHOp-CDC6融合遺伝子を野生型の酵母細胞に導入した。この株を継代培養するために、ガラクトース培地で発現するGAL1p-CDC6遺伝子も導入した。このアッセイ系をもつ酵母細胞は、ガラクトース培地では指数的に増殖し、グルコース培地では直線的に増殖した。長寿命または短寿命を示すことが知られているKO株にこの分裂寿命アッセイ系を導入すると、グルコース培地において長寿命株は野生型株よりも高い濁度となり、短寿命株は低い濁度となった。予備的に、分裂寿命アッセイ系を82株のKO株へ導入することに成功した。これらの細胞をグルコース培地で培養すると、野生型株よりも高いあるいは低い濁度を示すKO株がみられた。今後、分裂寿命アッセイ系をすべての酵母KO株へ導入することを試みる。
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