2009 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカの大衆文化と「教養」―「リット・ロック」における文学性の研究-
Project/Area Number |
21652030
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
石崎 一樹 Tokushima Bunri University, 人間生活学部, 准教授 (70330751)
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Keywords | 教養 / 知財 / コンテンツ / 多様性 / リベラル・アーツ / リット・ロック / メディア / リテラシー |
Research Abstract |
平成21年度は、計画に沿った研究を実施するとともに、本研究が「教養」の概念の見直しを意図することから「教養」概念そのものに対する考察が不可欠と考え、補足的な調査も行った。以下、具体的に実施した調査を記す。 平成22年2月、ニューヨークのブルックリンにOne Ring Zeroの主要メンバーであるMichael Hearst氏を尋ね、作家との共作であるAs Smart As We Areの製作に至る過程や、文学環境における彼らの作品の立ち位置、また彼らが10数年関わりのあるブルックリンの文学と音楽シーンの状況などについて聞いた。また今日において電子メディア環境の中で「教養」を捉え直す作業は必須であると考えられるが、先ごろ発表した製品において"Liberal Arts"を主要コンセプトとして取り入れたアップル社の動向を探るため、サンフランシスコで行われたMacWorld Expoを訪れた。さらに同地においてMichael Hearst氏と親交のある作家Dave Eggers氏が運営する教育施設Valencia 826を訪れ、アメリカの青少年に対するリテラシー教育の現場を調査した。 調査の途中経過は平成22年3月に行われた日本表現学会関西例会で「音楽で文学を表現すること」というタイトルで発表した。また上でも示したメディア環境を視野に入れることの重要性から、「教養」捉え直しの基本コンセプトに関する論文として「200Q年-生きられる物語として『1Q84』」を書いた。 現状は調査の途上であるが、アメリカにおける"Liberal Arts"が、実体が見えなくなったとされる日本の「教養」より具体的であるのかといえば決してそうではなく、きわめて流動的である印象を抱いた。本年度を通じてさらに「教養」の現代的あり方を模索するための調査・理論化を行う。
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