2009 Fiscal Year Annual Research Report
証券市場との融合が進む中での金融論としての商品先物市場論の構築
Project/Area Number |
21653025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
家森 信善 Nagoya University, 経済学研究科, 教授 (80220515)
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Keywords | 商品先物 / コモディティ / 証券市場 / 金融論 / 融合 / 東京工業品取引所 / 台湾 |
Research Abstract |
平成21年度は、申請者がこれまで金融論分野で行った研究のフレームワークを使って、商品先物市場の資産市場としての性質を明らかにした。 「商品先物をどのように個人の資産形成に役立てていくか?-商品指数の動きから見た投資商品としての特徴について-」においては、商品先物取引が限月を持つという性質のために長期投資に不向きであると指摘されることが多いことから、限月のないインデックスを分析の対象にして、株価との関係を調べてみた。その結果、商品インデックス投資は株式投資とは別の投資特性を持っており、商品先物をうまく活用すればポートフォリオの分散効果が期待できることを確認できた。実際、平成21年度には、商品価格や価格指数に連動したETFが相次いで上場されたり、2010年3月には東京工業品取引所に商品指数(TOCOM NEXT)が上場されたりするなど、インデックス投資の重要性が現実にも増しており、その理解を深めることに寄与したといえる。また、海外にも日本の商品先物市場を紹介することが重要であると考え、Characteristics of Japan's Commodities Index and its Correlation with Stock Indexと題する論文を、査読付きのJournal of Applied Research in Financeに投稿し、採択され、掲載された。 また、台湾の商品先物業界の現地ヒアリング調査を行い、日本の商品先物市場の問題点を国際的な視野で検討する材料を収集した。さらに、商品先物に関しての各種の資料を収集したが、特に、業界の詳細な情報を報道してきた商品市況研究所(デリバティブジャパンなどを刊行)が廃業するに際して、貴重な資料が散逸しないように交渉し、名古屋大学の図書館で引き取ることとした。さらに、年度末には中部大阪商品取引所の事務所移転に伴い、資料を受け入れるなど、基盤的資料の充実にも努めた。
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