2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本的な専門職コンピテンシー抽出と質保証システム構築のための横断的分析
Project/Area Number |
21653089
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 鉱市 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40260509)
|
Keywords | 専門職 / コンピテンシー / 質保証 / ステークホルダー |
Research Abstract |
本研究は、専門職の養成過程における「質」の側面に着目して、わが国における「専門職コンピテンシー(専門的業務遂行に必要な能力)」のあり方とそれを保証するシステムの実態を考察することを目的とした。まず、さまざまな専門職化の過程にある国内外の新旧とりまぜた各職種を取り上げ、専門職コンピテンシーとその質に関する議論を、主に政策資料(各種政府委員会・検討会などの会議録・議事録、専門雑誌など)を中心として跡づけた。次に、その質を保証する制度分析の事例を積み重ねることで、全体的な知見を得ることを課題とした。取り上げたケースとしては、(1)教育・保育系:保育士・幼稚園教諭、初中等教諭、学校カウンセラー、(2)医療・福祉・保健系:医師、看護師、薬剤師、介護福祉士・社会福祉士、管理栄養士、(3)法務・経済系:法曹、ビジネス・プロフェッショナルの3領域である。また、欧米諸国のモデルの再検討を行いつつ、中国・韓国など東アジア各国の専門職群とそれらの国々で大きな変容を見せる養成制度として、(1)中国のビジネス・プロフェッショナルならびに専門職学位制度、(2)韓国の法曹・医師ならびに専門大学院制度を取り上げた。考察の結果、各職とも入学試験から生涯学習機会に至る一連の養成プロセスが想定されているが、全プロセスならびにそれぞれの段階で国家、大学、専門職集団、現場の施設関係者などのステークホルダーが関与・介入し、専門職コンピテンシーについての定義やロジックがそれぞれ異なるため、各職における「質」はステークホルダー群による一種の政治的構成物であること、ただし「実習」と「研修」という制度は、大学における座学を中心とした専門(職)教育(学問知)と現場での実際的な業務(実践知)とを繋ぐものとして、各職に共通の質保証制度として機能していることなどが明らかとなった.
|
Research Products
(2 results)