2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21654021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舟木 直久 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (60112174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俣野 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40126165)
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Keywords | 確率論 / 解析学 / 確率偏微分方程式 |
Research Abstract |
1.研究代表者の舟木は、前年度に引き続き、連携研究者の謝氏(信州大学)らとともに、2次元ヤング図形の時間発展モデルの非平衡揺動極限に関する研究を継続し、極限はある種の無限次元空間上のOrnstein-Uhlenbeck型確率偏微分方程式によって記述されることを証明した。非平衡揺動に関する数学的に厳密な結果はこれまで余り知られていない。フェルミ型と呼ばれる場合には、確率偏微分方程式の境界条件を特定する必要があり、一方ボーズ型と呼ばれる場合には、基本的にフェルミ型に対する結果からある種の非線形変換を経由して極限の確率偏微分方程式が導かれることがわかる。そのためには、収束をより強い関数空間上で示しておくことが要請される。 2.神経パルスの伝播は、膜電位(すなわち細胞膜内外の電位差)の変化が空間的に伝わる現象である。この現象を記述する古典的モデルであるHodgkin-Huxley方程式や、その簡易版のFitzHugh-Nagumo方程式は、いずれも細長い神経細胞(ニューロン)を1次元媒体で近似したものである。これに対し、細胞の3次元構造を考慮すると、方程式は細胞の境界面(すなわち細胞膜)上で定義された擬微分方程式になるが、その詳しい性質は未解明であった。研究分担者の俣野は、「作用素の擬正値性」という概念を新たに導入することにより、細胞が有限の大きさをもつ場合について解の一様有界性を証明した。また、大域アトラクターの性質を調べた。
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