2010 Fiscal Year Annual Research Report
大気中の荷電粒子カスケードシャワーからの分子制動放射の特性測定
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21654036
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
荻尾 彰一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20242258)
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Keywords | 宇宙線 / 宇宙物理 / 大気現象 / マイクロ波 / 空気シャワー |
Research Abstract |
本研究では全く新しい空気シャワー観測法の基礎研究を行う。その観測法とは、空気シャワー中の電子成分粒子からの分子制動放射(Molecular Bremsstrahlung Radiation、 MBR)を、特に4-10GHzマイクロ波帯(C, Kuバンド)で検出する方法である。この方法は現在までに提案されている電波検出法の中で唯一、空気シャワーの縦方向発達を測定できるほどの空間分解能を有する。大気をターゲットとし、カロリメトリックなエネルギー推定と粒子種判別を実現でき、duty factor=100%となる可能性を持った新しい空気シャワー検出法である。 H21年度にはKuバンド、Cバンドの試作望遠鏡とパワーセンサーを製作し、太陽からの電波を観測することで望遠鏡の指向性を測定し、理論的に予想されるビーム幅が達成されていることを確認した。これを受けて、H22年度は、Kuバンドアンテナと空気シャワーアレイによる同時空気シャワー測定を行い、空気シャワーに同期した信号を検出したが、この信号が分子制動放射によるものとは断定できていない。太陽および人工物から放射される電波の受信機への混入を低下させるため、2台の望遠鏡を用いた同時計数システムを構築し、同時に電波遮蔽板を用いたカバーを製作した。また、受信器の高速パルス応答特性を向上させるため、パワーセンサーの改良、新規製作を行った。 H22年度前半までの研究成果を9月の日本物理学会と12月のInternational Symposium on the Recent Progress of Ultra-high Energy Cosmic Ray Observation(開催場所:名古屋国際会議場)で発表した。
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