2011 Fiscal Year Annual Research Report
大気中の荷電粒子カスケードシャワーからの分子制動放射の特性測定
Project/Area Number |
21654036
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
荻尾 彰一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20242258)
|
Keywords | 宇宙線 / 宇宙物理 / 大気現象 / マイクロ波 / 空気シャワー |
Research Abstract |
大阪市立大学理学部に設置されている空気シャワーアレイ(0.5m^2シンチレーション検出器18台を20m×40mの範囲にほぼ等間隔に設置)内に口径45cmのKuバンド電波望遠鏡を2台設置し、空気シャワーを同時観測した。昨年度に比べ、望遠鏡の台数を2台に増やし、また望遠鏡周囲に配置した電波吸収材でノイズ対策を施した。これによって雑音温度が約10度低下した。さらに、パワーデテクタを高速応答なものに変更するとともに、データ収集速度も向上させた。観測期間は2011年6月30目から2011年12月12日で、同時観測の稼働時間は111日間に相当し、114,265個の空気シャワー事象を記録した。この結果、空気シャワー由来と考えられる極めて大きなパルス状信号を1例検出した。また、天頂方向に向けた望遠鏡は、仰角30°の望遠鏡に比べ、空気シャワートリガー直後(10マイクロ秒以内)にS/N比の大きなパルス信号が多く得られていることがわかった。 また、日本国内での観測と並行して、米国ユタ州のテレスコープアレイ実験サイト内のBlack Rock Mesa大気蛍光望遠鏡ステーションに大阪市立大学で使われていたものと同型の電波望遠鏡2台を設置し、大気蛍光望遠鏡のトリガーによる電波観測を実施した。このとき、電波望遠鏡の視野中には垂直射出電子加速器ビームが通るように望遠鏡を配置した。運用は2011年10月29日、および2012年3月13日から17日に行われ、3月の期間には電子加速器ビームの射出もおこなわれていた。およそ100,000トリガー分の信号が記録された。電子加速器ビーム射出タイミングと電波波形の時間的な同期が最も正確に取れている(精度25ns)3月17日のデータ解析からは、電子加速器ビームに同期した、いかなる電波信号も検出されなかった。
|