2009 Fiscal Year Annual Research Report
X線CT技術を用いた海洋の炭酸イオン濃度指標の確立
Project/Area Number |
21654073
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
木元 克典 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境変動領域, 技術研究主任 (40359162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 理 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (60222006)
入野 智久 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (70332476)
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Keywords | マイクロX線CTスキャナー / 浮遊性有孔虫 / 炭酸イオン濃度 / 海洋酸性化 / 炭酸塩溶解 / 骨格密度 |
Research Abstract |
本年度は有孔虫骨格を用いた炭酸塩溶解の程度を見積もる上で、どの種を用いるのが適切かを判断するため、赤道域から南大洋高緯度域に至る表層堆積物中の浮遊性有孔虫について、マイクロX線CTスキャナ(MXCT)による透過画像の取得を行った。その結果、最外殻に二次石灰化層を形成し、低緯度から亜寒帯域にまで広く出現する浮遊性有孔虫グロボロタリア・インフラータを用いるのが適切であると判断された。この種を用いて、殻壁内の空隙率(密度)を求めるための試験的な解析を行った。その結果、X線検出器である光電子倍増管(センサパネル)の測定ごとの検出感度の変動が問題となり、測定毎に標準化を行う必要性が示唆された。このため、緻密な炭酸塩のキャリブレーションピースとなる試料を作成し、対象である浮遊性有孔虫骨格と同時にスキャニングを行うことにより、密度の標準化を行うことに成功した。今後、骨格密度の定量化のさらなる高精度化を押し進める予定である。実験設備としては、全アルカリ度測定装置を購入し、海水のアルカリ度、pH、全炭酸を定量するための設備を整えた。現在CO2ガスのバブリングによるpHコントロールの実験水槽の構築を進めている。来年度は実験室内で段階的に溶解させた浮遊性有孔虫骨格を測定し、骨格密度と海水の炭酸イオン濃度との関係について研究を行ってゆく予定である。アウトリーチとしては、文科省主催科学技術週間における写真展「科学技術における美」にMXCTを用いた画像を出品し、入選した。また科学雑誌「ナショナル・ジオグラフィックス」にMXCTで画像取得を行った浮遊性有孔虫グロボロタリア・インフラータの骨格密度の画像を提供し、海洋酸性化の教育・啓蒙に貢献した。
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