2010 Fiscal Year Annual Research Report
X線CT技術を用いた海洋の炭酸イオン濃度指標の確立
Project/Area Number |
21654073
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
木元 克典 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 技術研究副主幹 (40359162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 理 東北大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60222006)
入野 智久 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (70332476)
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Keywords | 浮遊性有孔虫 / 炭酸塩溶解 / 炭酸イオン濃度 / マイクロフォーカスX線CTスキャナ / セジメントトラップ / 北西太平洋 / 海洋酸性化 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度までに構築した炭酸塩溶解指標を用いて,現在の海洋サンプルの骨格密度を求める実験を行った.これにより,実海域における有孔虫骨格の密度測定ができ,実際にどの程度の骨格密度のダメージを受けているかを定量的に評価できる.北西太平洋Stn.K2(47°N,160°E)に設置されたセジメントトラップの150mと1000mのカップにトラップされた浮遊性有孔虫Globigerina bulloidesの骨格について,それぞれ10個体ずつ拾い出し,順次測定を行った.現在も測定中であるが,いくつかの試料について結果を得た.150mと1000mの水深の平均CT値は,600-650の付近に分布の中心をもち,両方の水深でほぼ似たような密度となることが明らかとなった.一方で,150mの水深で430-470付近の平均CT値をもつ個体群が存在することから,一部の種類については溶解が進行していることも明らかとなった。これについては現在検証中である.また炭酸塩溶解指標を過去の海底堆積物に応用するため,南大洋タスマン海台より深度トランセクトで採取された試料についても骨格密度の分析を行った.TSP-2PC(水深2400m)とTSP-4PC(水深2900m)について,過去15万年間で骨格密度を比較したところ,平均CT値は,炭酸塩の飽和度(Ωcal)が1.0に近い水深から採取された4PC(CT値700-800)のほうがより浅い2PC(>800)よりも低く,明らかに水深が深い方が溶解が進行していることが明らかとなった.このことは,本研究とは独立に求められた海底堆積物の溶解指標(円石藻のココリスの破壊の度合い)から求められた溶解曲線と類似しており,海底堆積物についても本研究の溶解研究手法が有効であることが示された.
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Research Products
(4 results)