2011 Fiscal Year Annual Research Report
X線CT技術を用いた海洋の炭酸イオン濃度指標の確立
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21654073
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
木元 克典 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 技術研究副主幹 (40359162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 理 東北大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60222006)
入野 智久 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (70332476)
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Keywords | マイクロX線CTスキャナー / 海洋酸性化 / 浮遊性有孔虫 / 骨格密度 / 炭酸塩溶解 / 炭酸イオン濃度 |
Research Abstract |
本年度は北西太平洋亜寒帯循環域のセジメントトラップ試料に含まれる浮遊性有孔虫の骨格密度を知るため,昨年度より高精度な分析を行った.水柱の炭酸イオン濃度と比較することで炭酸塩粒子の溶解量との関係を明らかにすることができると考えられる.水深150mと1000mに設置されたセジメントトラップ試料中の試料をそれぞれ分析した結果,両者の水深間の炭酸塩溶解は小さいという結果を得た.これには以下のような理由が考えられる.炭酸塩殻は海水中の懸濁粒子でもっとも重く,>200m/dayの沈降速度がある.このため1000mの水深には数日で達してしまい,すみやかに周囲の海水と隔離されるため,この間には炭酸塩溶解が進まない可能性が考えられる.これは炭酸塩に未飽和な海水に晒されても炭酸塩粒子は短期間では溶解しないことを意味し,炭酸をより効果的に深海底に輸送するパスとしての機能が効果的に働いていることを示す結果であると判断される.一方で,明らかに溶解が認められた個体群も存在した.それは2009年1月~3月に生成された浮遊性有孔虫の粒子に限られることが明らかとなった.これは試料の顕微鏡観察やTC(全粒子束のフラックス)とも整合的であり,それは混合層が深くなる冬期とも一致していた.このことは,水柱でも炭酸塩溶解が起こりうることを示唆し,同時に炭酸塩溶解には季節性が存在する可能性を示唆する。炭酸系の季節性(seasonality)は,現在の観測ではAt(全アルカリ度)やDIC(溶存無機炭素濃度)には変動として検出されないが,もしも浮遊性有孔虫骨格が溶解度に敏感に反応しているとすると,浮遊性有孔虫骨格は海洋酸性化の微小な変化をモニターする天然のもっとも優れたセンサーとなる可能性を示唆する.
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Research Products
(2 results)