2010 Fiscal Year Annual Research Report
コケムシ骨格を利用した新たな古海洋環境復元指標の開発
Project/Area Number |
21654074
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
町山 栄章 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, サブリーダー (00344284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 尚知 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質標本館, 主任研究員 (50356804)
石村 豊穂 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (80422012)
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Keywords | コケムシ / MART指標 / 同位体 / 古環境 |
Research Abstract |
コケムシ動物は、真体腔をもつ原口動物の一門で、個虫が無性出芽して多数集合することにより、固着性の群体を形成する。特に唇口目コケムシの個虫(虫室)の大きさは、それが出芽した時の水温と逆相関の関係にあり、同一群体内における虫室の大きさの変異を解析することで、群体が成長した期間における海水温の平均年較差が算出できるとされる(これをMART指標と呼ぶ)。MART指標は、分析データの地域的な偏りや骨格形態(虫室)計測の問題、コケムシ動物そのものの生態や生活環などの情報が不足しているために、その信頼性と汎用性の問題が残されている。本研究では同位体地球化学の側面からMART指標の検証を行い、コケムシ骨格を新たな海洋環境指標として確立することを目指す。 国内沿岸の広い緯度範囲でMART指標を検証するため、平成21年度の熱帯域(沖縄県八重山諸島の石西礁湖)での試料採取に引き続き、平成22年度は温帯域に分布するコケムシ試料として、静岡県沼津市に位置する大瀬崎の水深約5~24m付近にて試料採取を実施した。5地点からコケムシ群体試料を採取し、それらの分類を行った。また、前年度に実施した大瀬崎産のコケムシ群体のMART指標分析結果から、夏・冬という水温が極大・極小となる時期を経ていない群体である(すなわち年較差情報を有していない)ことが予想されたため、人工的な付着基盤を調査地点に設置してコケムシを成長させる定点観測を開始した。あわせて、前年に試験的に設置していた付着基盤を回収してコケムシ群体を観察した結果、この人工的な付着基盤がコケムシ群体の成長過程の解析に有効であることが検証され、本研究におけるMART指標分析に活用できることがわかった。一方、虫室計測の問題を解決するために、マイクロフォーカスX線CTスキャナーを用いた三次元群体骨格画像データを取得し、その検証を行った。
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Research Products
(1 results)