2009 Fiscal Year Annual Research Report
第四級オニウム・典型金属複合塩の設計および触媒機能創出と応用
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21655032
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大井 貴史 Nagoya University, 工学研究科, 教授 (80271708)
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Keywords | 典型金属 / 第四級オニウム / 複合塩 / 炭素-炭素結合 / 立体選択性 |
Research Abstract |
本研究初年度には、まず複合塩の構造活性相関に関する基礎的知見を得ることに注力した。具体的には、第四級オニウム塩として市販のテトラブチルアンモニウムフルオリドを用い、修飾の容易なフェノール誘導体を配位子とする有機アルミニウムルイス酸と混合して望みの複合塩が形成されるかをNMRによって評価した。ここでは、適切な有機溶媒、温度条件を定めることに留意して検討し、複合塩の形成を分光学的に確認することができた。同時に、触媒の調製後に再結晶を試み、X線結晶構造解析による構造決定の可能性を調べたが、このアキラルな触媒では、良質の結晶を得ることが困難であった。また、同様の触媒をアルキニルシラン、シアノシランといったケイ素試剤と反応させ、金属に結合したフェノキシドのケイ素への転位、及びそれにより生じるアニオン種が金属へ逆転位するか否かを、温度可変NMRを用いて検討中である。 これと並行し、上記のケイ素試剤のカルボニル化合物への求核付加反応における触媒活性を順次評価してきた。特に、本システムが求核剤と求電子剤を同時に活性化できるという利点を活かし、現在の精密有機合成において困難とされるケトンを求電子基質とする反応に適用した。その結果、ある程度の反応性を獲得することができたが、単純なフェノキシド体では十分な収率を見込むことは難しい。従って、適切な配位子の設計が不可欠であるため、フェノール誘導体を出発点に、二座、三座のフェノール類とアリールアミド誘導体を合成し、第四級アンモニウム-アルミニウム複合塩触媒としての活性の推移を追跡している。
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