2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21655037
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中野 環 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40227856)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 猛 北海道大学, 大学院・工学研究院, 博士研究員 (80515130)
|
Keywords | らせん / コンホメーション / キラリティー / 不斉重合 / 光化学 / 励起状態 |
Research Abstract |
本研究は、従来、触媒的合成反応や超分子的相互作用を用いて制御されてきた高分子の一方向巻きのらせん構造を、光(円偏光)のみを用いて制御することを目的とした。代表者らの従来の研究成果から、光照射によるビフェニル基のねじれ-平面転移が高分子鎖の構造変化の誘起に有効であることが判明していたため、側鎖にビフェニル残基を有し、光で構造を変えられると考えられるポリ[2,7-ビス(4-t-ブチルフェニル)ジベンゾフルベン](poly-1)を合成した。合成は、光学活性アニオン開始剤およびアキラルなアニオン開始剤を用いて行った。光学活性なメントキシカリウムを用いた重合では一方向に偏ったらせん構造を有すると考えられる光学活性ポリマーが得られた。この光学活性ポリマーに非偏光を照射したところ、ポリマーの円偏光二色性スペクトルには顕著な変化が観測され、らせん構造が一部ラセミ化あるいはランダムコイル化したことが示唆された。これにより、poly-1が光で構造を変えるポリマーであることが確認されたため、次に、アキラルなpoly-1に溶液中で円偏光を照射した。しかし、光照射後のポリマーは優位なキラル物性を示さなかった。これは、この物質の溶液中でのKuhn非対称因子が非常に小さいためと考えられた。そこで、次にアキラルなpoly-1を薄膜状にして円偏光を照射したところ、薄膜はキラル物性を示し、光により一方向に偏ったらせんが形成したことが示唆された。
|
Research Products
(14 results)