2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を介したイオン性固体結晶の真空性膜法の開発
Project/Area Number |
21656010
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 祐司 Tokyo Institute of Technology, 応用セラミックス研究所, 准教授 (60302981)
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Keywords | イオン液体 / 薄膜 / アルカリハライド |
Research Abstract |
本研究課題では、研究代表者がこれまで開発に従事してきた真空下で安定に存在する液体フラックスを用いた真空製膜法であるフラックスエピタキシー法を酸化物薄膜ばかりでなく、アルカリハライド固体材料に応用するため、以下の研究内容を通じて、イオン液体を介したエピタキシャルアルカリハライド薄膜の新プロセスの確立を目的としている。平成21年度は以下の研究項目を実施した。 (1) 各種イオン液体の真空蒸着、および熱安定性の検討 赤外レーザーを用いることで、通常の蒸留加熱では熱分解してしまうイオン液体に対しても、分解せずに真空蒸着出来ることが各種NMR測定から明らかとなった。 (2) 赤外レーザー蒸着法によるSrTiO_3(001)基板上へのNaCl薄膜のエピタキシャル成長の試み 有機固体やイオン液体とくらべ、比較的蒸着温度が高いとされるアルカリハライド材料についても、アルカリハライド粉末ターゲットにSi粉末を混合させることで、制御よく赤外レーザーで蒸着できることを確認した。また、この方法により、SrTiO_3(001)基板上にNaCl薄膜をエピタキシャル成長させ、クラックが入るほど高品質な単結晶膜を得ることに成功した。 (3) アルカリハライド薄膜成長に及ぼすイオン液体の効果の予備実験 イオン液体を予め蒸着したサファイア基板上にKBrを赤外レーザーで蒸着した。室温では、逆に結晶成長が阻害される傾向にあったが、基板温度を上げると、結晶性がよくなり、イオン液体を介したアルカリハライド薄膜の成長の有効性が示唆された。
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