2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 敏 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40359667)
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Keywords | フォノニック結晶 / 音響光学素子 / 共振器 / 分散関係 |
Research Abstract |
結晶を伝搬する音波などの弾性波は、散乱現象などを通して電子や光子と相互作用することにより、物質の光・電子物性を変化させる。弾性波の分散や空間閉じ込めの制御が可能となれば、関連する諸現象、特に光散乱や光弾性効果などの増強・制御が可能となると期待できる。本研究では、弾性波の伝搬特性が制御された人工材料を構築し、その音響光学デバイスへの応用を目指す。具体的には、弾性率の異なる材料の周期構造で構成されたフォノニック結晶構造を利用して弾性波の低群速度状態や局在状態を実現し、位相変調器や偏向器などとして広く利用されている、弾性波と光の相互作用を用いた音響光学素子の性能向上を目指す。今年度は、1次元フォノニック結晶中の弾性波に対するバンド解析を進め、その知見を基に特別な1次元フォノニック結晶構造を人工的音響光学結晶として用いることを提案した。例えば音響ブラッグ回折素子へ応用した場合では、フォノニックバンド近傍の波長をもつ弾性波を入射すると、その群速度が一様材料に比べて小さくなることに起因して、弾性波と光波の相互作用が増強され、素子長が同じであれば、従来よりも低パワーで高い回折効率を示す素子が実現できること、同じ弾性波投入パワーに対しては、回折効率を維持したまま素子長を短くすることでき、偏光角帯域を拡げることが可能となることを理論的に示した。また、このような1次元フォノニック結晶の作製法として、特定の結晶対称性を有する結晶材料を、ある結晶軸の周りに90度回転しながら繰り返し積層すること方法を提案した。今後は2次元フォノニック結晶構造の利用や他の音響光学素子への応用の可能性を検討する。
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