2009 Fiscal Year Annual Research Report
トキシコゲノミクスによる新規機能性ナノ高分子(デンドリマー)の毒性評価
Project/Area Number |
21656129
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡部 聡 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (10253816)
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Keywords | デンドリマー / 機能性高分子 / DNAマイクロアレイ / トキシコゲノミクス / 毒性評価 |
Research Abstract |
本年度は、デンドリマーのヒト細胞に与える基礎的な有害作用を検討した。対象細胞としては、ヒト肝癌由来細胞Hep G2を用いた。まずデンドリマーに対する基礎細胞毒性試験を実施した。異なる濃度のナノ粒子に暴露した場合の細胞の生存率を算出し、増殖抑制曲線からデンドリマー濃度の細胞増殖に対する影響を評価した。本研究では細胞培養から生存率測定までを単一のアッセイプレート上で行うことができるニュートラルレッド法を適用した。HepG2を培養後、異なる濃度のデンドリマーを培養液に添加して一定時間の暴露を行い、ニュートラルレッド溶液を添加して生細胞を染色した後、細胞の固定、洗浄、溶出液への色素の溶出を行い、マイクロプレートリーダーを用いて吸光値を測定、生細胞数を算出した。本研究では微量のデンドリマーによって発現変動する遺伝子を対象とするため、また、細胞から十分なRNAの回収量を確保するために、細胞生存率に影響が認められない最も高い濃度(最大無有害作用濃度)をマイクロアレイ解析時の暴露濃度とした。この試験では、設定するデンドリマー暴露濃度範囲内において、細胞レベルで明らかな細胞毒性(増殖抑制)を示した。培養時間は細胞の分裂速度(約24時間)を考慮し2日間とした。デンドリマーには炭素の分岐世代および表面修飾の異なる誘導体が存在する。このため、入手可能な誘導体毎(第4世代から第7世代)に実験を行い世代依存的な毒性を評価した。以上、本年度は、細胞生存率に基づく細胞毒性の評価、およびDNAマイクロアレイ解析時の暴露濃度を決定した。来年度は、決定した暴露濃度で再度毒性試験を行い、その後、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行う予定である。
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