2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ電解酸化法による新奇セラミックコーティング開発
Project/Area Number |
21656184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤津 隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (40231807)
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Keywords | プラズマ電解酸化 / ジルコニアコーティング / 遮熱コーティング / 多孔質膜 / 低熱伝導膜 |
Research Abstract |
Ni基単結晶超合金(SA)のタービン翼はタービン入口温度上昇に伴い、耐熱性向上のためにZrO_2コーティングが施されている。このZrO_2コーティングは、一般的にプラズマ溶射法(APS)と電子ビーム物理蒸着法(EB-PVD)が用いられているが、装置費用が高く、複雑形状に均一な成膜が困難とされている。本研究では、低コストで大型・複雑形状に均一な酸化物セラミックスを施すことができるプラズマ電解酸化(PEO)法に注目した。通常のPEOではZrO_2コーティングは困難であるSAへZrO_2をコーティングさせることに挑戦した。試験片にはアルミナイズされたNi基単結晶超合金(ASA)を用いた。(1)Al_2O_3酸化防止コーティング(OBC)をASA上に形成させ、(2)OBC上にZrO_2遮熱コーティング(TBC)を形成させるために、(1)に対しては電解質:Na_4O_7P_2(0.25mol/L)、(2)に対しては電解質:K_2[Zr(CO_3)_2(OH)_2](2.54mol/L)を用い、いずれも電圧:100~250V、試験時間:15分、pH:10以上という条件下でPEO処理した。15分のPEO処理でコーティングの膜厚は約50μmとなり、比較的高い速度でTBCが成膜できた。TBCは多孔質構造であり、かつ微細粒組織を含むことから、構造的には優れた遮熱性能が期待できる。コーティング中の結晶相は単斜晶、正方晶および立方晶ZrO_2であった。これは、PEO処理によって成膜時に高温となったため、高温安定相の正方晶および立方晶が形成し、急冷により形成した微細粒組織によって冷却時の相転移が阻害された結果である。密着強度は28.8±4.8MPa、熱伝導率は1.047W/mKであり、十分実用レベルにある。密着強度試験後の破面観察と破面の化学組成分析の結果、はく離箇所はOBC/TBC界面近傍であったと考えられる。
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Research Products
(2 results)